逆まつげが角膜を傷つける

まつげは本来、まぶたの縁から眼球とは反対側へカールし、眼球にあたらないように生えています。
しかし、「逆まつげ」では、何らかの原因でまつげが眼球の方へ向かっています。そのため、まつげが眼球にあたってしまい、ひどくなると角膜に炎症や潰瘍(かいよう)ができることもあります。症状としては目にゴロゴロするような異物感を感じたり、涙目になったり、目が痛む場合があります。

逆まつげになる理由

逆まつげには、大きく分けると、まつげが眼球に向かって生えてしまうタイプと、まぶたの縁が眼球側へ向かってしまうタイプがあります。まつげが眼球側に向かって生えてしまうタイプのものは「睫毛乱生(しょうもうらんせい)」と呼ばれます。これは、まつげの毛根の周辺で起きた炎症による傷跡などのために、まつげの生える方向が不規則になってしまうものです。一方、まぶたの縁が眼球側へ向いてしまうタイプのものは「眼瞼内反(がんけんないはん)」と呼ばれます。これは、皮下脂肪でまぶた(眼瞼)が膨らんでいる乳幼児でみられる先天性のものと、老化でまぶたの皮膚がたるんでしまった老人性のものに大きく分けられます。

逆まつげは自然に治る場合も多い

caution自分で逆まつげを抜くと、角膜を傷つけたり、感染などの恐れもあるため、まずは眼科を受診し、正しい診断を得ることが薦められます。

生まれつきの睫毛乱生の軽いものは、成長につれて自然に治る場合が多いため、3歳頃までは様子を見ます。眼瞼内反も乳幼児に多いですが、これも成長につれて自然に治ることも多いため、通常、学童期までは外科的な治療は行いません。成長するにつれても治らないものや老人性のものについては、手術を行う場合があります。
  • 【監修】

  • 【監修】

    社会医療法人生長会 府中病院 府中アイセンター センター長
    下村 嘉一先生

    <専門分野>

    角膜疾患、眼感染症、角膜移植、眼科レーザー学 難治性角膜疾患に対する治療

  • <略歴>

    1977年 大阪大学医学部卒業

    1981年 ジョージア医大講師

    1993年 大阪大学眼科講師

    1999年 近畿大学眼科主任教授

    2009年 近畿大学医学部堺病院院長

    2012年 近畿大学大学院医学研究科長

    2018年 近畿大学名誉教授

    2018年 社会医療法人生長会 眼科統括診療部 眼科統括部長

    2019年 社会医療法人生長会 府中病院 府中アイセンター センター長

  • <資格等>

    日本眼科学会名誉会員・指導医・専門医

    前大阪アイバンク理事長

    前日本コンタクトレンズ学会理事長

    元日本眼感染症学会理事長

    元日本角膜学会理事長

    2007年 日本眼科学会会長

    2016年 Peter Halberg Lecture 受賞(世界眼科学会)

    <その他>

    好きな言葉は「温故知新」

    趣味はリラクゼーションと読書