複雑な目の構造を
「目のしくみ」と「涙のしくみ」に分けて、
部位ごとの役割や働きを詳しく解説しています。
目のしくみ(目の構造)EYE STRUCTURE
涙のしくみ(涙の構造)STRUCTURE OF TEARS
涙腺 | 涙点 | 涙小管 | 涙嚢 |
鼻涙管 | マイボーム腺 |
-
涙腺【るいせん】
目の耳側上方にある。目の表面を滑らかにし保護する涙は、ここから分泌される。
-
涙点【るいてん】
上下のまぶたの鼻側にある小さな穴。涙腺(るいせん)から分泌された涙は目の表面を潤した後、ここから排出される。
-
涙小管【るいしょうかん】
涙点(るいてん)から排出された涙がはじめに通る管のこと。上のまぶたの涙点につながっているものを上涙小管(じょうるいしょうかん)、下のまぶたの涙点につながっているものを下涙小管(かるいしょうかん)という。
-
涙嚢【るいのう】
涙点(るいてん)から排出された涙が涙小管(るいしょうかん)を通り、いったん袋状の涙嚢(るいのう)に集まる。
-
鼻涙管【びるいかん】
涙点から排出された涙は、涙嚢(るいのう)に集まり、最終的に鼻涙管(びるいかん)から鼻腔内(びくうない)に出される。
-
マイボーム腺【まいぼーむせん】
まぶたの縁にある皮脂腺(ひしせん)の一つ。
涙を目に留まらせ目が乾燥するのを防ぐ油性成分(皮脂)が、ここから分泌される。
【監修】
-
【監修】
社会医療法人生長会 府中病院 府中アイセンター センター長
下村 嘉一先生<専門分野>
角膜疾患、眼感染症、角膜移植、眼科レーザー学 難治性角膜疾患に対する治療
-
<略歴>
1977年 大阪大学医学部卒業
1981年 ジョージア医大講師
1993年 大阪大学眼科講師
1999年 近畿大学眼科主任教授
2009年 近畿大学医学部堺病院院長
2012年 近畿大学大学院医学研究科長
2018年 近畿大学名誉教授
2018年 社会医療法人生長会 眼科統括診療部 眼科統括部長
2019年 社会医療法人生長会 府中病院 府中アイセンター センター長
-
<資格等>
日本眼科学会名誉会員・指導医・専門医
前大阪アイバンク理事長
前日本コンタクトレンズ学会理事長
元日本眼感染症学会理事長
元日本角膜学会理事長
2007年 日本眼科学会会長
2016年 Peter Halberg Lecture 受賞(世界眼科学会)
<その他>
好きな言葉は「温故知新」
趣味はリラクゼーションと読書
眼瞼【がんけん】
まぶたのこと。まばたきをしながら眼球を保護する。
結膜【けつまく】
まぶたをひっくり返して見える部分(眼瞼結膜 ー がんけんけつまく ー )と眼球の表面の白く見える部分(眼球結膜 ー がんきゅうけつまく ー)からなる透明の膜で、まぶたと角膜を結んでいる。袋状となっているため点眼した目薬はこの部分に溜まる。
角膜【かくまく】
いわゆる黒目(くろめ)の部分。光が通るため、実際は透明である。目に入る光が最初に通過し、大きく屈折される。
角膜は外側から、上皮、実質、内皮の三層に分けられる。
強膜【きょうまく】
いわゆる「白目(しろめ)」の部分。
角膜とともに眼球の外壁を作っている。
虹彩【こうさい】
いわゆる茶目(ちゃめ)の部分。
中心に瞳孔(どうこう)と呼ばれる孔(あな)がある。この大きさを変化させることにより、目に入る光の量を調節する。カメラでいえば、絞りに相当する。
チン小帯【ちんしょうたい】
細い線維(せんい)で、毛様体(もうようたい)と水晶体(すいしょうたい)を結ぶ。毛様小帯(もうようしょうたい)とも呼ばれる。
毛様体【もうようたい】
チン小帯と連動し、毛様体筋(もうようたいきん)の伸び縮みによって水晶体(すいしょうたい)の厚みを変え、ピントを調節する。ここで房水※(ぼうすい)を産生している。
※房水(目の中を満たす体液。眼圧を保ち、角膜や水晶体に栄養を補充する。)
水晶体【すいしょうたい】
透明な凸レンズで、目に入った光を屈折する。
毛様体(もうようたい)、チン小帯(ちんしょうたい)と連動して、水晶体(すいしょうたい)の厚みを変えることで、ピント調節を行う。
前房・後房【ぜんぼう・こうぼう】
房水※(ぼうすい)で満たされており、眼圧を維持している。
※房水(目の中を満たす体液。眼圧を保ち、角膜や水晶体に栄養を補給する。)
隅角【ぐうかく】
房水※(ぼうすい)が眼外(目の外)へ排出される部分である。
※房水(目の中を満たす体液。眼圧を保ち、角膜や水晶体に栄養を補給する。)
脈絡膜【みゃくらくまく】
強膜(きょうまく)と網膜(もうまく)の間にある膜。
血管が豊富であり、光を感じるために最も大切な網膜に栄養を送っている。
網膜【もうまく】
光を感じ、ものを見るために最も大切な部分で、カメラでいえば、フィルムに相当する。視細胞として、光を感じる杆体細胞(かんたいさいぼう)と色や形を感じる錐体細胞(すいたいさいぼう)が存在する。
黄斑【おうはん】
眼底(網膜)の中心を黄斑(おうはん)といい、ものを見る時に最も重要な部分である。その中心を中心窩(ちゅうしんか)といい、特に視機能が高く、視力検査で測る「視力」は中心窩のものである。
視神経【ししんけい】
網膜(もうまく)に達した刺激(視覚情報)を脳(中枢)に伝えている。
視神経乳頭【ししんけいにゅうとう】
眼球から脳に向かう視神経の出発点である。
硝子体【しょうしたい】
眼球の内容の大半を占める透明なゲル状のドロッとしたもので、眼球の形を保っている。