緑内障とは?
緑内障とは、目の中の水(眼房水)が溜まり、目の中の圧力(眼圧)が上昇することによって、目の痛みや視覚障害を引き起こす病気です。視覚機能はダメージを受け続けると元に戻らなくなるため、できる限り早く眼圧を下げる必要があります。
犬の緑内障は、発症してからの経過と状態によって急性緑内障と慢性緑内障に分けられます。
急性緑内障:病気の発症から日が浅く視覚のある、または視覚回復の見込みのある緑内障
慢性緑内障:病気の発症から時間が経過し視覚の回復が見込まれない緑内障
犬の緑内障の症状
眼圧が上がっている時に見られることのある症状
- 目が張っている(目が大きく見える)
- 元気がない
- 目が白っぽく濁る
- 食欲がない
- 痛そうに目をしょぼつかせる(目を開けない)
- 散瞳(瞳孔が開く)
- 目をこする
- 充血(点眼薬の副作用の場合あり)
- 視覚障害(物にぶつかりやすくなるなど)
同じ症状でも、緑内障とは異なる目の病気で上記の症状がみられることもあります。
上記の症状が見られた際にはまずは獣医師による診察を受けることをお勧めします。
- 緑内障の充血
- 急性緑内障
緑内障の治療方法
緑内障治療には、内科的治療と外科的治療があります。犬の目の状態によって、施される治療内容が異なります。
内科的治療
点眼治療がメインとなります。通常、必要な点眼薬を1日数回点眼してもらうことが必要となります。場合により眼圧下降作用のある全身投薬を行うこともあります。外科的治療
内科的治療での眼圧維持の限界や点眼治療の負担がある際に検討されます。手術・処置によっては点眼麻酔で行える場合と全身麻酔が必要な場合があります。外科的治療の利点としては長期的な内科的治療による点眼や通院の負担が軽減される一方、手術の内容によっては獣医眼科専門医レベルの熟練度が求められる手術もあります。
人でも失明の原因として常に上位にあげられる緑内障は、犬においても失明の原因の上位にくる病気であり、以下の方法がその緑内障の目の状態に合わせて選択されることがあります。
対象:急性緑内障 病気の発症から日が浅く視覚のある緑内障
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隅角インプラント(バイパス手術)
目の中に医療用チューブを設置し、継続的に眼房水を汲み出して眼圧と視覚を維持する方法です。
- 緑内障バイパス手術(矢印が医療用チューブ)
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ダイオードレーザー / マイクロパルスレーザー/エンドレーザー
眼房水の産生や排出を医療用レーザーにより調整する方法です。
対象:慢性緑内障 病気の発症から時間が経過し視覚の回復が見込まれない緑内障
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強膜内義眼挿入術
目の中の組織を取り、代わりに医療用シリコンボールを挿入します。人の義眼とは手術内容が異なりますので獣医師による説明をお聞きください。
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眼球摘出術
眼球を摘出し、まぶたは閉じた状態になるよう縫合します。
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硝子体内薬剤注射
水晶体より後ろにある硝子体というゼリー状空間に少量の薬を注射し、眼房水を作る組織(毛様体)を壊すことで目の中の水(眼房水)の産生を抑える方法です。