バイオシミラーはどの程度普及しているのですか?

現状では、バイオシミラーの存在が患者さんの間であまり知られていないため、普及が進んでいませんが、バイオシミラーを使用したいと考えている患者さんは多いようです。

現在は低いバイオシミラーの認知度

バイオシミラーは、患者さんの経済的負担を軽減できると期待されていますが、現状ではあまり普及していません。その理由の1つとして、そもそも患者さんがバイオシミラーを知らないことが挙げられます。

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※調査対象:バイオシミラーが販売されている4疾患(加齢黄斑変性、乾癬、関節リウマチ、および糖尿病)の患者400名(各疾患100名)。日経リサーチ、2022年3月。

バイオ医薬品による治療を受けている患者さん400名を対象に行った調査によると、「バイオシミラーを使っている」と答えた患者さんの割合は、調査で聞いた4つの疾患においてはいずれも1割前後でした。また、「バイオシミラーを知っている」と答えた患者さんの割合も3割弱と、多くの患者さんがバイオシミラーについてそもそも知らないというのが現状のようです。

多くの患者さんが治療費軽減に期待

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※調査対象:バイオシミラーが販売されている4疾患(加齢黄斑変性、乾癬、関節リウマチ、および糖尿病)の患者400名(各疾患100名)。日経リサーチ、2022年3月。

一方、この調査では、バイオシミラーに一定のニーズがあることも示されています。「効果や安全性が先行バイオ医薬品と同等であり、かつ価格が原則として70%に設定される薬を使用したいか」という設問に対して「使用したい」あるいは「まあ使用したい」と回答した患者さんは半数を超えていました。また、このような薬を使用したい理由としては、ほとんどの患者さんが治療費の負担が軽くなることへの期待を挙げていました。つまり、バイオ医薬品を使用している患者さんには、治療費を抑えたいという一定のニーズがあるのです。

バイオシミラーに関する正しい知識を

では、なぜ現状ではバイオシミラーがあまり普及していないのでしょうか。この調査では、バイオシミラーを使用していない理由として「医師から勧められていないため」と答えた人が多かったほか、「効果や副作用に対する不安」を挙げる人もいました。しかし、バイオシミラーの品質は厳格な基準に沿って管理されており、先行バイオ医薬品と効果や副作用などが同等であると認められなければ販売されることはありません。

最終的に使用する医薬品は、医師と相談のうえで決める必要があります。しかし、バイオ医薬品を使用する場合、金銭的負担が非常に大きくなるケースもありますから、患者さん自身がバイオシミラーについて正しい知識を持ち、選択肢の1つとして知っておくことが大切といえるでしょう。

参考資料
日経リサーチ 患者視点から見たバイオシミラー 普及のカギは?
https://www.nikkei-r.co.jp/column/id=8441