ハートがゆれる
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この図を見た第一印象は?
正方形の中が、波打っているように見えるのではないでしょうか。
ところが、この図の背景である「市松模様」は、すべて正方形であり曲線はまったくありません。
市松模様の角の部分に、小さなハート型が配置されていますが、これも色が二種類あるだけで、整然と並べられています。
そう説明されても、やはり波打って見える……。
人によっては、うねうねと動いているようにも見えたりします。これは、「傾き錯視」といわれる現象を利用して作った図で、錯視の研究者は「波の錯視」と呼んでいるそうです。
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こちらの図は、前のものとはハートの色の配列を変えています。これでしたら、波打ったりしているようには見えないですね。
実は、色と色が接しあう部分の配列に、錯視の秘密があるようなのです。
この図の場合、赤いハートは、濃い紫色のタイルと結びついて知覚されやすく、白いハートは薄いピンク色のタイルと結びついて知覚されやすいのです。そのため、前のページの図のように濃い色と薄い色の配列が不規則になると、色と色が「ひっぱりあう」ような感覚が生じ、波打っているようにみえたわけです。
ただ、このような錯視の研究はまだ「説」として確定的ではなく、脳と知覚の秘密は、まだまだ始まったばかりなのです。
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だまし絵監修・三輪みわプロフィール
神戸市生まれ。1986年「第1回パズル大賞」を受賞し、以後パズル作家として活躍中。そのかたわら、オリジナルの
「だまし絵」を発表。作品のいくつかは、ポスターやレコードジャケットに採用され、テレビ・雑誌などのメディアにも取り上げられている。