
愛知県にある、豊田四郷とみやす眼科 院長。日本眼科学会認定 眼科専門医。一般眼科、小児眼科(ナイトレンズ)を標榜し、白内障手術、硝子体手術など、さまざまな日帰り手術まで幅広く診療。病気に対して、患者さんとご家族と一緒に一つ一つ丁寧な対応で向き合う「二人三脚の医療」を行い、信頼される眼科クリニックを目指している。
処方薬や市販薬を問わず、どんな目薬にも使用期限は存在します。しかし「まだ残っているし、見た目も変わらないから」と、使用期限のことを気にとめず、ついつい使い続けてしまう人もいるのではないでしょうか。使用期限を過ぎた目薬には、効果の低下や雑菌の繁殖など、思わぬリスクが潜んでいるので注意が必要です。
この記事では、目薬の使用期限や開封後の注意点、正しい保管方法や安全な使い方を紹介します。
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目薬の使用期限はいつまで?

目薬を始め、適切な保管条件の下にあった医薬品は、製造から3年以上たっても品質や性状が安定していることが確認されていれば、特別な表示は法的に義務づけられていません。
しかし、多くの市販薬には、各メーカーが「効果が保たれ安心して使える期限」として定めた使用期限があり、パッケージや容器に記載されています。
目薬の使用期限には「開封前(未開封)の使用期限」と「開封後の使用期限」があり、それぞれ目安となる期限は異なります。ここで言う「開封」とは、目薬のキャップを開けることです。
メーカーによっては、外箱や内袋などを開けたことを「開封」とするなど、考え方が異なる可能性もあります。市販薬の場合は、そのような但し書きなどがないか、使用前にパッケージや説明文書の記載を確認しておきましょう。
しかし、多くの市販薬には、各メーカーが「効果が保たれ安心して使える期限」として定めた使用期限があり、パッケージや容器に記載されています。
目薬の使用期限には「開封前(未開封)の使用期限」と「開封後の使用期限」があり、それぞれ目安となる期限は異なります。ここで言う「開封」とは、目薬のキャップを開けることです。
メーカーによっては、外箱や内袋などを開けたことを「開封」とするなど、考え方が異なる可能性もあります。市販薬の場合は、そのような但し書きなどがないか、使用前にパッケージや説明文書の記載を確認しておきましょう。
未開封時の使用期限
目薬のパッケージや容器に記載されている使用期限は、未開封の場合の期限です。市販の目薬で未開封の場合、使用期限は製造日から2~3年程度が一般的とされていますが、未開封の目薬であっても、必ず使用前に使用期限を確認しましょう。
※千寿製薬が扱うマイティアブランドの目薬(OTC医薬品)の場合は、「外箱パッケージの底面」と、「目薬容器の裏面」に使用期限の記載があります。
ただし未開封時の使用期限は、あくまでも正しい条件下(室温保存・遮光など)で保管されている場合の目安です。高温多湿や直射日光を避けずに保管した場合、期限内であっても品質が劣化する恐れがあるため、保管場所にも注意しましょう。
開封後の使用期限
目薬によって異なる場合もありますが、開封後の使用期限の目安は次の通りです。
処方薬の使用期限は、医師または薬剤師の指示に従いましょう。
処方薬の使用期限は、医師または薬剤師の指示に従いましょう。
種類 | 使用期限の目安 |
---|---|
市販薬 | 開封後約3ヵ月以内 ※商品によっては上記の目安よりも短いものもあるため、パッケージや説明文書の記載を確認するようにしましょう。
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処方薬 | 開封後約1ヵ月以内
※開封後1週間以内など短いものもあるため、医師や薬剤師に指導された使用方法を守りましょう。
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種類を問わず、上記の期限内であっても薬液内に異常(変色・異物・透明であったものが濁るなど)が見られた場合は、早急に使用を中止してください。もし異常が見られる薬液を点眼してしまった場合は、すみやかに水で目を洗い、医師または薬剤師に相談しましょう。
使用期限が切れた目薬は使っても大丈夫?

開封前(未開封)・開封後にかかわらず、使用期限が過ぎた古い目薬は、成分が劣化している可能性が高いため使用は控えましょう。成分の劣化が進むと、目薬本来の効果が得られないだけではなく、目の健康に悪影響を及ぼす恐れもあります。
特に開封後の目薬は、容器の先端がまぶたやまつげの先端に触れることで雑菌が入り込み、薬液が汚染されていることも。そのような目薬を使用すると目に炎症が起こり、痛みやかゆみなどを引き起こす恐れもあります。
以下のような症状が出た場合は目薬の使用をただちに中止し、眼科を受診してください。
特に開封後の目薬は、容器の先端がまぶたやまつげの先端に触れることで雑菌が入り込み、薬液が汚染されていることも。そのような目薬を使用すると目に炎症が起こり、痛みやかゆみなどを引き起こす恐れもあります。
以下のような症状が出た場合は目薬の使用をただちに中止し、眼科を受診してください。
- 目のかゆみ・充血・痛み
- 目やにの増加
- 強い異物感
なお、使用期限が過ぎた目薬は誤って使用しないよう、保管しておかずにすぐに廃棄することも大切です。
目薬の使用期限を管理するコツ
忘れないようにしたいのが、「目薬をいつ開封したか」「いつまで使えるのか」を把握することです。市販の目薬のパッケージには開封日の記入欄がないことも多く、気づいたら期限が過ぎているケースは少なくありません。以下のようにちょっとした工夫を取り入れることで、使用期限の超過を防ぎやすくなります。
- 目薬を入れる袋に開封日をメモする
- スマホのカレンダーやアラームで「使用期限のリマインダー」を設定する
目薬の正しい保管方法と注意点

目薬を保管する際は、特に温度や湿度、保管環境に注意することで、目薬の安全性と有効性を保つことができます。
ここでは目薬の正しい保管方法と、意外と見落としがちな注意点について解説します。
ここでは目薬の正しい保管方法と、意外と見落としがちな注意点について解説します。
基本:直射日光・高温・多湿を避ける
説明文書で特に指定がない場合でも、目薬は直射日光が当たらない涼しいところで保管するようにしましょう。車内や窓際、暖房器具の近くなど、高温になる場所での保管は、目薬の有効成分が分解したり変質・変色したりするリスクがあるので避けてください。
また品質保持に必要な専用の袋がある場合は、必ずその中に入れて保管するようにしましょう。さらに保管時に気をつけるべき点として、湿度が挙げられます。湿気が多い場所での保管は、容器の内部に雑菌が繁殖する原因になりかねません。
以上の点から、目薬の使用後は必ずしっかりとキャップを閉め、直射日光・高温・多湿といった環境は避けて、保管しましょう。
また品質保持に必要な専用の袋がある場合は、必ずその中に入れて保管するようにしましょう。さらに保管時に気をつけるべき点として、湿度が挙げられます。湿気が多い場所での保管は、容器の内部に雑菌が繁殖する原因になりかねません。
以上の点から、目薬の使用後は必ずしっかりとキャップを閉め、直射日光・高温・多湿といった環境は避けて、保管しましょう。
湿布薬や防虫剤と一緒に保管しない
目薬を保管する際は、湿布薬や防虫剤、芳香剤などと一緒にしないことも大切なポイントです。においの強いこれらには、揮発性の高い成分が含まれています。そのため一緒に保管してしまうと、揮発性成分が目薬の容器を透過し、薬液に影響を及ぼす場合があります。
冷蔵庫で保管する際は凍結に注意する
説明文書で禁止されていない限り、目薬は冷蔵庫で保管することができます。しかし冷蔵庫の奥や、冷気の吹き出し口付近で保管すると、低温すぎて薬液が凍結してしまう恐れがあります。薬液は凍ると成分が変化してしまい、本来の効果が得られない可能性もあるため、凍らせないように注意し、凍った目薬は使用を控えましょう。
目薬の使用期限と一緒に意識したい注意点

目薬の使用期限を守っていても、使い方を間違えていると目に悪影響を与えてしまいます。ここからは衛生的かつ安全に目薬を使うための注意点を紹介します。
目薬の容器の先端を目の周りやまつげに触れさせない
目薬を点眼する際は、容器の先端が目の周りやまつげ、眼球に触れないように注意しましょう。目の周りの皮膚やまつげには、目に見えない細菌やウイルスなどが付着していることがあります。これらが容器内に入り込んでしまうと薬液の中で増殖し、感染症を引き起こす原因になることもあります。
また点眼時は、容器をしっかりと目から離すことが大切です。容器をうまく目から離せない、またはうまく点眼できない人は、「げんこつ点眼法」がおすすめです。「げんこつ点眼法」とは、げんこつを下まぶたに当て、その上に目薬の容器を持った手を乗せて点眼する方法です。
「げんこつ点眼法」の詳しい説明など、目薬の正しい差し方については以下の記事で紹介しています。
また点眼時は、容器をしっかりと目から離すことが大切です。容器をうまく目から離せない、またはうまく点眼できない人は、「げんこつ点眼法」がおすすめです。「げんこつ点眼法」とは、げんこつを下まぶたに当て、その上に目薬の容器を持った手を乗せて点眼する方法です。
「げんこつ点眼法」の詳しい説明など、目薬の正しい差し方については以下の記事で紹介しています。
その他、病院で処方される一部の目薬に限りますが、目と容器の先端が当たらない点眼補助具を使用する方法もあります。
他人と目薬の共有はしない
使用期限が迫っているのに目薬が残っていると、家族やパートナーと共有したくなるかもしれません。しかし、たとえ身近な人であっても目薬を共有することは避けてください。中の薬液が汚染していた場合に目薬を共有すると、目の病気がうつってしまう恐れがあります。
また病院で処方された目薬は、受診された方一人ひとりの症状に合わせて処方されているため、他人が使うと逆効果になることがあります。
家族で複数人が同じ種類の目薬を使っている場合は、それぞれ目薬を入れる袋に名前を書いて管理する、専用ケースに分ける、輪ゴムを巻いて区別する、などの工夫を取り入れましょう。
また病院で処方された目薬は、受診された方一人ひとりの症状に合わせて処方されているため、他人が使うと逆効果になることがあります。
家族で複数人が同じ種類の目薬を使っている場合は、それぞれ目薬を入れる袋に名前を書いて管理する、専用ケースに分ける、輪ゴムを巻いて区別する、などの工夫を取り入れましょう。
目薬の使用期限を守って、目の健康を守ろう

目薬の使用期限は、開封前(未開封)と開封後で明確な違いがあります。使用期限を過ぎた目薬は効果が薄れるだけではなく、目に悪影響を与える恐れもあるため、「もったいないから」と使い続けるのは避けましょう。目のトラブルは日常生活にも影響するものです。少しでも不安を感じた場合には、眼科医や薬剤師に相談することをおすすめします。
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