まぶたの裏などにできる白い出来物の正体は? その対処法や日常生活での注意点を解説
眼科医 堤篤子 先生

監修
眼科医 堤篤子 先生

東京・練馬区のつつみ眼科クリニック理事長。日本眼科学会認定眼科専門医。クリニックではさまざまな方の視点に立ち、我が親・我が子・我が孫たちに受けさせたい治療を提供。遠くの大学病院に足を運ばなくても、地域で完結できる医療体制づくりに取り組んでいる。

まぶたの裏などに白くブツブツとした出来物が…。そんなとき、疑われる病気にはいくつか種類があります。治療の必要がない場合も多いようですが、痛みや違和感などの症状がある場合は注意が必要。そこで、今回は考えられる病気とその症状を紹介するとともに、それぞれの原因や対処法、日常生活での注意点について紹介します。

まぶたの裏などに白い出来物ができる主な眼病

目薬
まぶたの裏やまつげの生え際などにブツブツとした白い出来物を見付けたら、驚いてしまいますし、どんな病気なのか心配になりますよね。いくつか考えられる疾患がありますが、なかでも特に可能性が高いと考えられるものを紹介します。まずはそれぞれの特徴をチェックしてみてください。

まぶたの縁の感染症「ものもらい(麦粒腫・ばくりゅうしゅ)」

麦粒腫と霰粒腫の発生箇所図説
まぶたの分泌腺に細菌感染して起こる、膿が出る炎症です。

ものもらい(麦粒腫)はほかにも「めばちこ」「めぼ」「めいぼ」などと呼ばれることも。まぶたのふちに、傷みを伴う赤い腫れができる症状で、炎症がひどい場合はまぶた全体が大きく腫れたり、充血したりすることもあります。

症状が進むと、たまった膿が自然につぶれて出ていくため、ある程度時間が経過すると治癒することもあります。

皮膚の外側にできるものを外麦粒腫(がいばくりゅうしゅ)、まぶたの内側にできるものを内麦粒腫(ないばくりゅうしゅ)といいます。

感染の影響がまぶた全体に広がってしまうこともあるので、眼科を受診することをおすすめします。

【原因】
主に黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などの細菌感染が原因で起こります。普段は鼻の穴やのど、皮膚、毛髪などに常在しているが、病気やケガなどで抵抗力が低下した場合などに何らかの理由によって感染し炎症を起こすことがあります。
【症状】
まぶたの一部が赤くはれ、まばたきしたり押したりすると痛みがあります。目やにが出て、まぶた全体が腫れることもあります。

【対処法】
ものもらい(麦粒腫)ということがわかった場合は、抗菌剤が入った目薬や眼軟膏で治療します。これで治ることがほとんどですが、効果が出ない場合は抗菌薬を内服します。腫れている部分に膿が溜まってしまった場合は、膿を排出する手術を行うこともあります。

麦粒腫がひどくなる時は身体が疲れているときや、季節の変わり目が多いです。休息を十分に取ることが必要です。

まぶたの奥にあるマイボーム腺が腫れる「霰粒腫(さんりゅうしゅ)」

マイボーム腺というまぶたにある分泌腺の出口が詰まって炎症が続いた結果、しこりができた状態です。炎症を伴っている場合、麦粒腫に似た症状が出ることもあり、急性霰粒腫といわれます。

人にうつることはありませんが、放置するとしこりになって、そのまま残ってしまうことがあるので、できるだけ早めに眼科を受診しましょう。

【原因】
マイボーム腺がつまることでたまった分泌物が変化し、炎症を起こすのが原因です。不規則な生活や疲れ、ストレスなどによるホルモンバランスの影響のほか、化粧品などがマイボーム腺に付着することで、出口が塞がれてしまい炎症を起こします。
【症状】
まぶたの裏にコロコロしたものができます。炎症を伴っている場合は発赤、痛みがあることもあります。

【対処法】
しこりが小さい場合は自然に小さくなることもあります。強い痛みや腫れがある場合は、細菌感染の疑いがあるため、抗菌剤を点眼したり内服をします。しこりが点眼しても治らず、目立つ場合や大きい場合は、手術をします。手術をせず様子を見る場合、しこりの部位を温める温罨法(おんあんぽう)や、保湿する軟膏を塗ることも有効です。

まぶたの裏に分泌物が固まる「結膜結石」

眼瞼結膜といわれるまぶたの裏側の粘膜に、分泌物が固まって白い小石のようなものができる症状です。初期は無症状で、そのまま症状がでない場合は治療の必要はありません。しかし、できた結石が表面に露出すると、まばたきによって角膜に傷をつけてしまうので、早めに眼科を受診することをおすすめします。

【原因】
慢性結膜炎や加齢などが原因として考えられます。

【症状】
まぶたの裏の出来物、痛み、異物感、涙目など。

【対処法】
目薬による対症療法が治療のメインになります。洗眼や目薬の点眼によって自然に結石が落ちるケースもあるため、2~3日は様子を見ます。改善しない場合は摘出します。摘出は点眼麻酔で行われ、針で刺して摘出します。特に異物感がなければ治療しない場合も多いです。

マイボーム腺分泌不全・マイボーム腺梗塞

油の分泌腺であるマイボーム腺の出口は、まつげの生え際にあります。ここが目詰まりして、目のふちに白いブツブツができている状態をマイボーム腺分泌不全といいます。完全に詰まってしまい角化物が固まった状態をマイボーム腺梗塞といいます。
【原因】
加齢によってマイボーム腺の油分を押し出す力が弱まってしまうことや、動物性の脂質の過剰摂取などで詰まりやすくなることが影響すると言われています。また、アイメイクによる分泌腺の詰まりも原因の1つとして考えられています。

【症状】
まぶたの裏やまつげの生え際の出来物、痛み、腫れ、ごろつき、異物感など。

【対処法】
マイボーム腺分泌不全の方は、アイメイクを控えたり、目の周りをきれいにすることが大切です。
マイボーム腺梗塞が表に出てきて痛みや異物感があるときは、点眼麻酔をして詰まっている物を摘出します。

コンタクトなどによるアレルギー反応「巨大乳頭結膜炎」

まぶたの裏に炎症が起こり、まぶた全体が腫れたり、まぶたの裏にある乳頭という突起と角膜がこすれてしまうことで角膜に傷がついたりする病気です。コンタクトがずれやすくなり、かすんだり曇ったりします。

【原因】
原因の多くがコンタクトの汚れに対するアレルギー反応と摩擦によるものです。

【症状】
まぶたの裏のぶつぶつした隆起、目やに、充血など。

【対処法】
眼科では、第一選択薬は抗アレルギー点眼薬、症状がひどい場合は、ステロイド点眼薬が処方されます。多くの場合はコンタクトが原因になっているため、コンタクト装用者は使用を一時中止する必要があります。

トラブルになる前に!日常生活での注意点

ホットタオルで目を温める女性
まぶたの裏などに出来る白い出来物の原因を見てきましたが、今後できるだけ同じ症状を起こさないようにしたいですよね。日常生活での注意点を紹介しますので、ぜひ健やかに過ごせるように習慣化してみてください。

目を触る前に手を清潔に保つ

汚れた手で目をこすったり、しっかりケアしていない汚れたコンタクトを使用したりすることも目のトラブルの原因となります。目の周辺をさわる際は手をキレイにし、異物が入ったらしっかり取り除くことが大切です。

目の周りを清潔に

ほとんど痛みがなく、比較的早い段階であれば、温罨法といわれる方法が有効です。まぶたを蒸しタオルなどで温めて、古い分泌物などの排出を促してあげましょう。

また、この方法と併せて、マイボーム腺の出口があるまぶたのふちを掃除する方法もおすすめ。眼科ではアイシャンプーを勧めるところもあるようです。これらを取り入れてみるのも良いでしょう。
洗顔中の女性

アイメイクをしすぎない

まつげより内側にアイラインを入れる化粧方法が増えています。アイメイクが目の分泌腺を塞いでトラブルの原因になります。アイメイクを目の縁ぎりぎりにしすぎないことが大切です。

また、まつげエクステをしている方もトラブルが多いようです。まつげエクステの付着部分に汚れが付着しやすいこと、まつげが取れることを恐れて目の周りを洗わないことが原因です。

コンタクトのケアを丁寧にする

再発を防ぐためには、コンタクトをキレイに保つことが重要です。1日使い捨てタイプのソフトコンタクトはレンズを清潔に保つことができるのでおすすめです。

まぶたの裏などにできる白い出来物を予防するために、目の周りを清潔に保とう

コンタクトレンズ
まぶたの裏などにできる白い出来物には、この記事で紹介したような疾患の可能性も考えられますが、予防策としてそれぞれに共通するのが、目やコンタクトを清潔に保つこと。また間接的には、健康的な生活を送ることも重要なようです。時折まぶたを観察しながら、もし症状が出た場合は早めに眼科を受診するようにしましょう。

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