目の充血、原因は“どこが赤いか”で分かる? 症状別の対処法をチェック
眼科医 大高功 先生

監修
眼科医 大高功 先生

横浜相鉄ビル眼科医院 院長。慶応義塾大学医学部卒。日本眼科学会認定眼科専門医。ワシントンの医学データベースにアクセスし、世界の最新の情報をキャッチ。常に患者さんを自分自身と考え「自分が患者ならもっともしてほしい治療」をお勧めしている。一発の手術でその人の人生の流れを変えられるような「眼外科医」を目指し、日々手術を執刀。

突然、白目が真っ赤に充血していて驚いたことはありませんか? 目の充血は、白目部分の血管が拡張し、網目状に赤くなったり、白目の部分に赤い斑点ができるものなどがあり、充血の様子や箇所でその原因はさまざまです。この記事では、目の充血の状態ごとにどんな原因や症状があるのか、そして症状ごとの対処法を紹介します。

目が充血している箇所から考えられる症状と原因

目が疲れた女性
目の充血は、起こる部位やその症状によって「結膜充血」「毛様充血」の2つに分けられます。それぞれの充血する箇所の特徴や症状、原因をみていきましょう。

【結膜充血】白目の周辺部が網目状に赤い

目の端や、白目周辺部が網目状に鮮やかな赤色になっているなら「結膜充血」が考えられます。
この場合、まぶたの裏も赤くなったり、目やにや流涙を伴ったりすることもあります。原因は以下のような点です。

【原因】
・花粉やハウスダストなどのアレルギーによる目の炎症
・細菌・真菌(カビ)・ウイルスなどによる目の炎症
・ドライアイ(目のかわき)やコンタクトの長時間使用などによる目の疲れ

目の疲れによる充血は、疲れを回復させるため、目に酸素や栄養を運ぼうとする力が働くことで目の血流量が増え、白目の部分の血管が拡張してしまうために起きるものです。

【毛様充血】黒目周辺部が網目状に赤い

目の黒目周辺が網目状に赤くなるなら「毛様充血」が考えられます。黒目から離れるほど赤色は薄れ、まぶたの裏側まで充血しないのが特徴です。涙は出ても目やには出ないことが多く、強い痛みを伴う場合もあります。原因としては以下が挙げられます。

【原因】
・角膜に傷が付き、そこに細菌や真菌(カビ)が感染して起きる角膜炎
・虹彩・毛様体・脈絡膜の総称をぶどう膜といい、ぶどう膜の炎症が原因で起きるぶどう膜炎
・リウマチなどの全身性疾患が原因で起きる強膜炎

早めに眼科を受診したほうが良い症状

【結膜充血】
目の充血とともに目にかゆみや目やにが出ていたら結膜炎の疑いがあるので、眼科を受診するのがおすすめです。

【毛様充血】
目に強い痛みがある場合は、角膜に傷がついていたり炎症だけではなく、重篤な疾患が隠れていることもありますので早めに眼科を受診しましょう。悪化すると失明する可能性もあるので、早めの受診がおすすめです。

この他にも、目の充血とは異なりますが、同様に目が赤くなるものとして【結膜下出血】もあります。これは、何らかの原因で結膜の血管が破れて出血をしたことにより、白目が赤くなってしまう症状のこと。ひどいときは白目全体が真っ赤になり驚いてしまうこともあります。痛みはなく、1~2週間で自然治癒することが多いのでそれほど心配はいりませんが、何度も繰り返す場合は眼科を受診しましょう。

症状別! 目の充血に効果的な目薬の選び方

目薬をさす女性
目の充血にはさまざまな原因があるため、対処法も症状によって変わります。ここでは、市販の目薬で目の充血の改善が期待できる症状と、目薬の選び方を紹介します。
ただし、市販の目薬では毛様充血や結膜下出血には効果がないため、眼科の受診をおすすめします。

今すぐ改善させたい目の充血には

早めに目の充血を解消したいときには、「血管収縮剤」配合の目薬を使用しましょう。拡張した血管を収縮させ、すばやく目の充血を改善してくれます。ドラッグストアで、「塩酸テトラヒドロゾリン」「ナファゾリン塩酸塩」と成分表記されている目薬を選んでくださいね。

ただし、血管収縮剤は充血の原因に対する治療効果はなく、長い期間使用することによって薬が効かなくなったり、リバウンドで充血が酷くなったりするというリスクも。定められた用法用量を守り、一時的に使用するのがおすすめです。

アレルギーや結膜炎による目の充血には

花粉、ハウスダストなどによるアレルギー症状で目が充血したときには、「抗ヒスタミン成分」や、「抗アレルギー成分」が配合された目薬を使用しましょう。ドラッグストアで「花粉、ハウスダストなどによるアレルギーに」などと書いてある目薬を選んでくださいね。

細菌性結膜炎には、「抗菌点眼液」を使用しましょう。ドラッグストアで「ものもらい・結膜炎に」などと書いてある目薬を選んでください。ウイルス性結膜炎には有効な治療薬がないので、市販薬で対処することはできません。また、細菌性なのかウイルス性なのかは自己判断できないため、まずは眼科を受診するのがおすすめです。

疲れ目による目の充血には

疲れ目により目が充血したときには、目の新陳代謝を活発にしたり、血行を促進させたり、目に栄養を与えて疲れ目を緩和させる成分が入った目薬がおすすめです。成分は「パンテノール(プロビタミンB5)」「ビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩)」「ビタミンE(酢酸d-α-トコフェロール)」「タウリン」「L-アスパラギン酸カリウム」などがあります。

ドライアイ(目のかわき)による目の充血には

ドライアイ(目のかわき)による目の充血は、目が乾くことによって生じるため、涙に近い成分で目を潤すのが効果的です。成分は、「コンドロイチン硫酸エステルナトリウム」「ヒアルロン酸ナトリウム」「塩化ナトリウム」「塩化カリウム」などがあり、それらが含まれた人工涙液がおすすめです。

目の充血を予防する日常的な対処法

休息をとる女性
かゆみや痛みを伴わない目の充血は、目の疲れが原因かもしれません。疲れ目による充血を予防するための日常的な対処法や、充血してしまった場合に改善する方法を紹介します!

疲れ目で目が充血したときにはまず目を休める

目が疲れたと感じたときは、短い時間でも目をつぶるなどまず目を休めることが大切です。パソコンやスマホの画面を長時間眺めている場合は、1時間ごとに約15分は休憩を取り、ディスプレイから離れて目を休めるようにしましょう。

ドライアイ(目のかわき)で目が充血したときは意識してまばたきをする

意識的にまばたきの回数を多くして、涙の分泌を促進し目がかわくのを予防しましょう。    
パソコンやスマートフォンを長時間使用しまばたきの回数が減っている時や、エアコンによる乾燥などで目がかわき、充血してしまうこともあります。

目が充血したときは目を温めるより冷やす

目が疲れたときは目の周りを温めて血行を良くし、筋肉の緊張をやわらげるのが効果的ですが、白目が充血しているときは血管の拡張を鎮めるために冷やしたほうが効果的です。冷たい濡れタオルや氷を挟んだタオルなどで目の周りを冷やすことで、目の血管が収縮し、充血がやわらぎます。

目の充血に効果的な栄養は「ビタミンB₂」

ビタミンを含むサラダ
目の充血には、目の健康を考えた栄養バランスの良い食事をとることも大切です。目の充血に効果的な栄養と、より効率的な取り入れ方を紹介します。

目の充血には、ビタミンB₂が多く含まれた食品が効果的

目の充血には、ビタミン類を多く含む食品を食事に取り入れると良いとされています。なかでも、目の充血にはビタミンB2を取り入れるのが効果的。ビタミンB2には、細胞の再生を促したり網膜などの粘膜を保護したりする働きがあり、目の充血への効果が期待できます。

ビタミンB2が多く含まれる食品は以下です。
レバー、うなぎ、卵、納豆、乳製品、葉菜類 など

ビタミンB₂の効率的な身体への取り入れ方

ビタミンB2は水溶性なので、食材は洗いすぎず、加熱する際には調理した煮汁ごと食べると取り入れやすいと言われています。また、光に弱いので、ビタミンB2を多く含む食材を保存する場合は遮光性のある容器に入れるのがおすすめです。

ビタミンB2は脂質の代謝に使用されるビタミンのため、脂質の摂取が多い人は意識的に取り入れると良いでしょう。そしてなにより、摂取した栄養を活かすためには十分な睡眠など正しい生活習慣を実行することも大事。タバコやアルコールなど、粘膜に刺激を与えるようなものはなるべく控えるのも目の充血に効果的です。

目の充血、早めに原因をつかんで正しい対処を!

目がきれいな女性のイメージ画像
同じ「目の充血」でも、原因により緊急度は大きく変わります。この記事でどの症状に当てはまるのかをチェックして、早めの対処を心がけましょう。目薬で症状の改善ができるものもあるので、上手に使って目を守ってくださいね。

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