目のかゆみに効く点眼薬を知りたい! 症状に合わせた市販薬の探し方とは
眼科医 松田 秀穂 先生

監修
眼科医 松田 秀穂 先生

まつだアイクリニック院長。日本眼科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。「Quality of Lifeの向上を目指して」 地域の皆さまが“安心”“納得”できる医療を提供している。一般の眼科疾患に加えて、日帰り白内障手術を中心とした眼科手術を行っており、緑内障手術・網膜剥離手術・硝子体手術・眼瞼手術・翼状片手術なども行う。

ある日突然、目がかゆくなってたまらなくなることはありませんか? 花粉やハウスダストなどによるアレルギー、目の炎症など、目のかゆみには、さまざまな原因が考えられます。素早くかゆみを抑えるためには症状に合った正しい対策が必要。この記事では、目のかゆみの原因と、症状に合った目薬や日常的な対処法を紹介します。

目のかゆみが起きる原因とは?

目をかく女性
目のかゆみは、主にまぶたや白目部分の結膜についた異物からの刺激、細菌感染、異物に対するアレルギー反応によって起こります。主にどんな原因があるのかを紹介します。

花粉やハウスダストなどのアレルギー

目の結膜が、花粉やハウスダストなどのアレルギー物質の刺激を受けて炎症を起こすとかゆくなります。
結膜には異物から体を守るために抗体を作ることができる細胞が多く存在します。この抗体によって異物を的確に、効率よく排除できる免疫システムが働き、人の体は守られていますが、アレルギーを発症するとこの免疫が過剰に働いてしまいます。花粉などのアレルゲンが生体内に侵入すると肥満細胞の表面に存在するIgE抗体の表面にくっつき、かゆみを起こす「ヒスタミン」という物質が分泌され、これが目のかゆみの原因となります。

結膜炎

ウイルスや細菌の感染やアレルギー反応で、目の結膜(白目の表面とまぶたの裏側を覆っている半透明な膜)に炎症が起きる疾患のことを「結膜炎」といい、炎症による刺激でかゆみが起きます。結膜炎には、以下のタイプがあります。
<細菌性結膜炎>
黄色ブドウ球菌などの細菌に感染して発症し、かゆみを伴います。

<ウイルス性結膜炎>
アデノウイルスなどのウイルスに感染して発症し、かゆみを伴います。まぶたが腫れて充血し、目やにや涙がたくさん出たり、耳の前にあるリンパ節にしこりができたりすることもあります。アデノウイルスは、「はやり目」と呼ばれ感染力が強く注意が必要な”流行性角結膜炎”や、小児に生じることが多く夏に流行することが多いため「プール熱」とも呼ばれる“咽頭結膜熱“を起こすこともあります。

<アレルギー性結膜炎>
花粉やハウスダストだけではなく、他のアレルギーやコンタクトの汚れなどにより、目に影響を与え、目のかゆみを生じさせます。
アレルギーによって起こる疾患には、アトピー性角結膜炎、春季カタル、巨大乳頭結膜炎などもあります。

コンタクトの不適切な使用

コンタクトの洗浄が不十分だったり、不適切な使い方をすると、汚れにより細菌が付着し、目に感染してかゆみを伴うことがあります。
また、長時間着用すると、酸素不足となり、目が乾燥してかゆみが出ることもあります。人によっては、コンタクト自体にアレルギーを起こし、かゆみなどの症状が起こることもあります。

ドライアイ(目のかわき)

目を保護している涙の分泌が減ったり、涙が蒸発して目が乾燥したりすることでドライアイ(目のかわき)になると、かゆみを生じることがあります。
ドライアイ(目のかわき)を引き起こす主な原因としては、エアコンによる部屋の乾燥、乾燥する時期に屋外で強い風にあたること、パソコン作業や車の運転など目を集中して使う際のまばたきの減少、強いストレスなど自律神経の乱れによる涙の分泌抑制など、さまざまな原因があります。

【症状別】市販で購入できる、目のかゆみにおすすめの目薬

目薬をさす女性
今すぐ目のかゆみを抑えたい!そんなときは市販の目薬(点眼薬)を使用するのもおすすめです。症状ごとにおすすめの市販の目薬の種類を紹介しますので参考にしてください。
市販の目薬を自分で判断するのが難しい場合は、お店の薬剤師や登録販売者に相談しましょう。また、市販の目薬で対処できるか分からない場合は、眼科を受診することをおすすめします。

花粉症などアレルギーによる目のかゆみにおすすめの目薬

一般的に、アレルギーによる目のかゆみを抑えるには「抗アレルギー点眼薬」を使うことが多く、ドラッグストアなどでも購入が可能です。
市販されている抗アレルギー点眼薬に含まれる成分には、大きく分けて、ヒスタミンを始めとするアレルギー誘発物質の発生と放出を防ぎ、症状を緩和する働きがある抗アレルギー成分と、放出されてしまったヒスタミンが受容体に結合しないようにブロックする働きのある抗ヒスタミン成分があります。
代表的な成分名は以下の通りです。
《抗アレルギー成分》
・クロモグリク酸ナトリウム
・アシタザノラスト水和物

《抗ヒスタミン成分》
・クロルフェニラミンマレイン酸塩
・ケトチフェンフマル酸塩

結膜炎など炎症による目のかゆみにおすすめの目薬

結膜炎の種類によって、使用する目薬が変わります。それぞれの疾患に効果的な市販の点眼薬は以下となります。
<細菌性結膜炎>
パッケージに「ものもらい・結膜炎に」などと書いてあり、抗菌成分として「スルファメトキサゾール」か「スルファメトキサゾールナトリウム」が配合されている抗菌タイプの目薬がおすすめです。通常の目薬のタイプもあれば、1回使い切りのタイプもあります。ただし、3~4日使用しても症状が良くならない場合は、使用を中止し、眼科を受診しましょう。
コンタクトを装着されている方は、装着したままだと症状を悪化させる場合があるため、症状が治まるまで装着されないことをおすすめします。

<ウイルス性結膜炎>
ウイルス性の結膜炎には有効な治療薬がないのが実情です。市販薬で対処することはできませんので、早めに眼科を受診するようにしましょう。

<アレルギー性結膜炎>
前述の、花粉症などアレルギーによる目のかゆみにおすすめの点眼薬を使用しましょう。

ドライアイ(目のかわき)による目のかゆみにおすすめの目薬

ドライアイ(目のかわき)には、涙と同じ成分の塩化ナトリウムや塩化カリウムなどが含まれている目薬でやさしく目をうるおすのが効果的です。中でも、高粘度保水成分ヒプロメロースを含んだ目薬を使用すると、ヒプロメロースの粘り気により長く目に留まり、うるおいを保つことができます。
気を付けないといけないのは、ドライアイに防腐剤入りの目薬を使用すると角膜に悪影響を及ぼす恐れもあるということ。特にコンタクト使用中は避けましょう。
主な防腐剤の成分は以下となりますので、点眼薬を選ぶ時にチェックしてみてくださいね。
・ベンザルコニウム塩化物
・パラベン など

コンタクト装着時に点眼薬を使用するときの注意点

コンタクト用と記載されている目薬を使用しましょう。それ以外の目薬を使用すると、コンタクトが変形してしまうこともあるので要注意です。特にソフトコンタクトは柔らかい素材でできているため目薬の成分をレンズが吸収してしまいやすく、レンズをつけたままでいることで角膜などへ影響が生じる可能性もあります。
一般的な目薬を使用するときは、ソフトコンタクトを外して点眼し、15分ほどたってから装着するようにしましょう。

目のかゆみを抑える日常的な対処法

手を洗う人
目のかゆみを発症させない、悪化させないために、日常生活でできる対処法があります。ぜひ毎日の生活習慣に取り入れて、目のかゆみを防止しましょう。

細菌やウイルスへの対処法

手や生活用品には、目に見えない雑菌が付いていることも。気を付けるポイントをご紹介します。
  • 雑菌を目に入れないよう、手で目をこすらない
  • 帰宅後は石鹸などでよく手を洗う
  • 家族に結膜炎にかかっている人がいる場合は、タオルなどの生活用品を別々にする

花粉への対処法

花粉の時期には、洋服などに花粉が付着して室内に持ち込まれることも。気を付けるポイントをご紹介します。
  • 花粉が飛散しやすい晴れた風が強い日中、特に飛散のピークとなる昼前から午後3時ごろの時間帯はなるべく外出を控える
  • 外出時はマスクやメガネ、花粉用ゴーグル、帽子を着用して花粉との接触を防ぐのも効果的
  • 花粉の付きやすいニットの服は避け、花粉が付きにくいスベスベした素材の服を選んで着る
  • 家に入る前に玄関先で花粉を払い、室内に花粉を持ち込まない
  • 外出から戻ったときはすぐに手や顔、目、鼻を洗い、うがいをする
  • 花粉が飛散しやすい日は窓やドアをできるだけ閉め、空気清浄機を使うなどして室内に漂っている花粉を取り除く

目のかゆみには、症状に応じた市販薬を使おう!

目のかゆみには様々な原因があるため、原因に合った対処法を行うことが大切です。症状に合った市販薬の使用や対策を行い、不快な症状を素早く改善させましょう。それでもかゆみが治まらないときには、早めに眼科で診察を受けてくださいね。

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