東京・成城のアイリス眼科院長。日本眼科学会認定眼科専門医。目の健康寿命を後押しするため、気軽に安心して受診できる身近な専門医を目指している。眼科の枠を超えた「メディカルインディバ」や「アロマセラピー」の施術も好評。患者さんの笑顔に日々励まされながら、一人ひとりに丁寧に向き合いオーダーメイドの治療を提供している。
朝起きると、まるで別人のように目がむくんでいてびっくり! なんていうことはありませんか? 「前日に塩分を摂り過ぎた」など明確な理由がわかれば良いですが、原因不明の目のむくみは、ひょっとしたら病気がもとで起きている可能性も。今回は目がむくむ原因と、その解消法について紹介していきます。
index
- 目のむくみはなぜ起こる?そのメカニズムについて
- 血流やリンパの流れが滞り、皮膚の下に余計な水分がたまるから
- 生活習慣や生理現象に起因する目のむくみとは
- 食事などで塩分を摂りすぎている
- 低い枕やうつぶせの姿勢で寝ている
- 運動不足や冷えで血行不良になっている
- 月経前である
- 病気に起因する目のむくみとは
- 甲状腺の病気が原因となる目のむくみ
- 腎臓の病気が原因となる目のむくみ
- 心臓の病気が原因となる目のむくみ
- まぶたの炎症(眼瞼炎)が原因となるむくみ
- 目のむくみを防ぐために日常で気をつけたいこと
- 塩分を控えた食事を意識する
- バナナなどカリウムを多く含む食品を食べる
- 1日1回、お風呂につかって体を温める
- 体をよく動かすようにする
- 目のむくみをすばやく解消する必殺ワザ
- 「ツボ押し」で目元の血流を良くする
- 蒸し&冷やしタオルで血行を促進する
- 「目の体操」で目元をすっきりさせる
- 頭皮&耳マッサージで頭全体の血流をUPさせる
- 漢方薬で目のむくみをとる
- ポイントを知り、目のむくみを予防しよう!
目のむくみはなぜ起こる?そのメカニズムについて
そもそもなぜ突然目が腫れぼったくむくむのでしょうか。その原因や解消法を探る前に、まずは目がむくむメカニズムについて知っておきましょう。
血流やリンパの流れが滞り、皮膚の下に余計な水分がたまるから
まぶたがむくむ原因は、血液の循環やリンパの流れが滞り、余分な水分が肌の内側に溜まってしまうからです。
毛細血管やリンパ管は常時、管の中を流れる水分を外へ出したり、逆に外から水分を吸収したりしています。毛細血管から排出された水分が細胞の間に余分に流れたり、毛細血管やリンパ管へ吸収される水分が減ったりすることで、細胞の間の水分が余ることによってむくみが生じるのです。
毛細血管やリンパ管は常時、管の中を流れる水分を外へ出したり、逆に外から水分を吸収したりしています。毛細血管から排出された水分が細胞の間に余分に流れたり、毛細血管やリンパ管へ吸収される水分が減ったりすることで、細胞の間の水分が余ることによってむくみが生じるのです。
生活習慣や生理現象に起因する目のむくみとは
多くの場合、目のむくみは食生活や就寝スタイルなど生活習慣に起因しています。ここではその原因となるものを一つ一つ見ていきます。
食事などで塩分を摂りすぎている
塩分を摂り過ぎると、体は塩分の濃度を一定に保とうとして、塩分を薄めるために水分を溜め込みやすくなります。
低い枕やうつぶせの姿勢で寝ている
低い枕や、うつぶせで寝たりすると、重力によって目元に水分が下がっていくため、まぶたがむくみます。
運動不足や冷えで血行不良になっている
むくみは血流の滞りでも起きます。運動する習慣がなかったり、冷え性気味だったりで血行が悪いと、むくみやすくなります。
月経前である
むくみは月経前症候群(PMS)の代表的な症状の1つです。女性は、生理開始4~5日前から水分を溜め込む働きのある黄体ホルモンが増えることによってむくみます。
病気に起因する目のむくみとは
目のむくみは時間が経つと解消される、問題のないものがほとんどです。しかし、なかには病気が原因である場合も。目に直接かかわる病気から、腎臓や心臓などの病気まで、目がむくむ病気にはどんなものがあるのかを紹介します。
甲状腺の病気が原因となる目のむくみ
のどの前側にある甲状腺という臓器の機能がバセドウ病などで過剰になった場合、逆に橋本病などで低下した場合に、いずれもまぶたがむくむことがあります。
腎臓の病気が原因となる目のむくみ
腎臓には体内から余分な水分を排出する役割がありますが、その機能が低下することでまぶたや足がむくみやすくなります。
心臓の病気が原因となる目のむくみ
心臓が血液を送り出す機能が落ち、心不全と言われる状態になると全身に余分な水が溜まります。その場合、まぶたや重力の影響を受けてむくみやすい足などに症状が現れやすくなります。
まぶたの炎症(眼瞼炎)が原因となるむくみ
かぶれやアレルギー反応が起こると、まぶたに炎症を起こして皮膚が腫れたり、ただれたり発疹ができたりします。原因は化粧品やシャンプー、薬品などの化学薬品、動物の毛、植物、金属、ゴム、内服薬や注射など様々です。まぶたの根元付近の細菌やウイルス感染、マイボーム腺の詰まりも、腫れやむくみの原因になります。
目のむくみを防ぐために日常で気をつけたいこと
目のむくみは、食事や生活習慣などちょっとしたポイントに気を付けるだけでほとんどの場合回避することができます。以下ではそのポイントについて具体的に紹介します。
塩分を控えた食事を意識する
塩分過多は体に水分を溜め込む一番の要因。塩分を摂り過ぎる傾向のある人は、ダシの旨みやスパイスなどで風味を補いつつ、減塩を意識しましょう。
バナナなどカリウムを多く含む食品を食べる
バナナに多く含まれるカリウムは、体から塩分を排出する働きがあります。バナナのほかにカリウムを多く含むのは、かぼちゃやニラ、イモ類などです。こうした食品を意識的に取り入れるようにしましょう。
1日1回、お風呂につかって体を温める
むくみは血流の滞りで起きるので、シャワーだけで済ませている人はお風呂で体をよく温めましょう。そのときにリンパマッサージをすると、より効果的ですよ。
体をよく動かすようにする
運動すると運動中の血流が良くなることに加え、筋肉量が増加することでポンプ機能が向上し、普段の血行も良くなります。改めて運動の時間をつくらなくても、よく歩く、階段を使うなど意識して体を使うようにするだけで、少しずつ血行改善に繋がります。
目のむくみをすばやく解消する必殺ワザ
朝、出勤前などに目がむくんでいると本当に困ってしまいますね。そこでできるだけ早く目のむくみを解消する、ツボ押しやマッサージの方法を伝授します。
「ツボ押し」で目元の血流を良くする
目のむくみに効くツボは、目の周りに3カ所。ツボ押しで血流を良くすることで、目元のむくみが取れてすっきりします。
①睛明(せいめい)
目頭(目のいちばん内側)と鼻の付け根の間のくぼみにあるツボが睛明です。指で押しながらほぐします。
②魚腰(ぎょよう)
眉毛の真ん中のくぼみにあるツボが魚腰です。優しく回しながらほぐします。
③瞳子髎(どうしりょう)
目尻のさらに指1本分外側にあるツボが瞳子髎です。押しながらほぐします。
以上、①〜③を1セットとし、計3セットほど続けて行います。
①睛明(せいめい)
目頭(目のいちばん内側)と鼻の付け根の間のくぼみにあるツボが睛明です。指で押しながらほぐします。
②魚腰(ぎょよう)
眉毛の真ん中のくぼみにあるツボが魚腰です。優しく回しながらほぐします。
③瞳子髎(どうしりょう)
目尻のさらに指1本分外側にあるツボが瞳子髎です。押しながらほぐします。
以上、①〜③を1セットとし、計3セットほど続けて行います。
蒸し&冷やしタオルで血行を促進する
蒸しタオルやホットアイマスクで10分ほど目もとを温めます。温めることで血のめぐりが良くなり、むくみの解消に効果的です。やけどをしないように注意してくださいね。その後、冷蔵庫で冷やした濡れタオルと交互に目元にあてると、より効果的です。
「目の体操」で目元をすっきりさせる
上下左右を見たり、目をぐるぐる回したりして、目のまわりの筋肉を動かします。
目をつぶってぎゅっと力を入れて2〜3秒キープした後、パッと開くという動きを何度か繰り返して行いましょう。
目をつぶってぎゅっと力を入れて2〜3秒キープした後、パッと開くという動きを何度か繰り返して行いましょう。
頭皮&耳マッサージで頭全体の血流をUPさせる
指を大きく広げ頭の上に当て、頭皮をもみます。気持ち良く感じる程度に力を入れましょう。その後、左右の耳をそれぞれ軽くつかみ、上下左右に引っ張ったり、軽くまわしたりしましょう。
漢方薬で目のむくみをとる
漢方薬で目のまわりのむくみや腫れをとることもできます。漢方薬を扱うクリニックや眼科医にご相談ください。
ポイントを知り、目のむくみを予防しよう!
目のむくみは、食生活や生活スタイルに起因するものがほとんど。日頃から要因をつくらないように気をつけましょう。また「なかなかむくみが引かない」というときは病気の可能性を疑って、まずは眼科で相談してくださいね。
また、まぶたの痛みや赤みのあるむくみは、アレルギー反応や感染性の病気の可能性があるため早めに眼科に受診することをおすすめします。
また、まぶたの痛みや赤みのあるむくみは、アレルギー反応や感染性の病気の可能性があるため早めに眼科に受診することをおすすめします。