ストレスで目も充血するかも!? ストレスが目に与える影響やリラックス法を紹介
眼科医 大高功 先生

監修
眼科医 大高功 先生

横浜相鉄ビル眼科医院 院長。慶応義塾大学医学部卒。日本眼科学会認定眼科専門医。ワシントンの医学データベースにアクセスし、世界の最新の情報をキャッチ。常に患者さんを自分自身と考え「自分が患者ならもっともしてほしい治療」をお勧めしている。一発の手術でその人の人生の流れを変えられるような「眼外科医」を目指し、日々手術を執刀。

仕事や家事、育児に追われて毎日バタバタ…。ふと鏡を見たら、いつの間にか目が真っ赤に! その目の充血、もしかするとストレスが原因かもしれません。ストレスがたまると心身にさまざまな影響が出ますが、目も同様に充血などの症状がでることがあります。なぜストレスが目の充血に繋がるのか、対処法とあわせて紹介します。

ストレスで目が充血する原因とは

眠そうな女性
目の充血は、ストレスにより発症することがあります。その原因はストレスによる自律神経の乱れ。どんな理由で目が充血するのか具体的に紹介します。

ストレスによる目の充血は自律神経の乱れによるもの

人間には自律神経と呼ばれる神経があり、自分の意思とは関係なく外的な刺激や情報に反応して身体の機能をコントロールしています。この自律神経には、活動中などの興奮時に働く「交感神経」と、それを抑制する「副交感神経」の2つがあります。

なんらかのストレスでこの2つの神経バランスが崩れると目の機能がコントロールしにくくなり、目のピント調節ができにくくなったり目が乾いたりして、目が疲れて充血してしまうのです。
ストレスにより自律神経が乱れることでどんな症状が現れるのか、みていきましょう。

ストレスで目が充血する原因① 目の疲労

ストレスにより自律神経が乱れて「交感神経」が働きすぎると、神経や筋肉が常に緊張している状態となります。その影響で目の筋肉が過度に緊張し続けると、目の血流が悪くなり目が疲れてしまいます。          
そうしてその疲労を回復させようと酸素や栄養を運ぼうとする力が働き、目の血流量が増え、白目の部分の血管が拡張することで充血してしまうのです。

ストレスで目が充血する原因② 睡眠不足

ストレスにより「交感神経」と「副交感神経」の切り替えがうまくいかなくなると、よく眠れなくなることがあります。これは、身体をリラックスモードに誘導する「副交感神経」の働きが弱まり、「交感神経」による緊張状態が続くことで起きてしまう現象。睡眠不足が続くと身体とともに目も休まらなくなり、その結果目が充血してしまうのです。

ストレスで目が充血する原因③ ドライアイ(目のかわき)

ストレスにより「交感神経」が優位になると、「副交感神経」によってもたらされる涙の分泌が少なくなり、目の乾燥を招き、ピント調節がしにくくなります。また、目の乾燥を放っておくと角膜に十分な栄養が行き渡らないことで目が疲れ、充血に繋がります。

ストレスが原因で起きる目の疾患

目が見えにくい女性
目の充血以外にも、ストレスが原因で目に影響が出ることがあります。重症化すると視力に影響する疾患もあるので、思い当たる症状があったら早めにケアをしてくださいね。

若い女性に多い、ストレス性のまぶたの痙攣

上または下まぶたの一部がピクピクする症状(眼瞼痙攣(がんけんけいれん))が続くことを「眼瞼ミオキミア」と言います。ストレスを強く受けると顔面神経が過度に興奮状態になり、それにより上または下まぶたの一部がピクピクします。この「眼瞼ミオキミア」は若い女性が発症することが多く、パソコンやスマホの長時間使用、睡眠不足による疲れ目から発症することもあると言われています。

この症状は休養をとれば収まることが多いですが、目が開けにくい、まぶしい、などの症状がある場合は眼科の受診が必要となるので注意が必要です。

ストレスで視力が低下する心因性視力障害

ストレスが原因で身体のどこかに症状が出てくる病気を心身症と言います。例えばストレス性胃潰瘍や心臓神経症などが挙げられますが、目にもこの症状が現れることがあり、それを「眼心身症」と言います。「眼心身症」に最も多い症状としては、心因性視覚障害があります。

症状としては視力低下が最も多く、色が見分けにくい、視界がゆがんで見える、大きさが違って見える、視野の中心部しか見えなくなるといった症状が現れます。

大人も発症しますが、子どもにも増えている病気です。発症年齢は8〜12歳ごろがピークで、女子は男子の3〜4倍多く発症するのが特徴です。

ストレス起因の高血圧によって起きる視力低下

ストレスにより「交感神経」が優位になると、高血圧を起こすことがあります。高血圧になると網膜の血管が狭くなり、高血圧性網膜症などを引き起こして視力が急激に低下したり、視野が欠けたり、さらには失明のリスクもあったりします。

高血圧性網膜症は病気がかなり進行しないと自覚症状が現れないことが多く、気が付かないうちに網膜の血管が損傷していることがあるので、軽度の高血圧であっても気を付ける必要があります。

目の充血に効果的な目薬の選び方

目薬をさす女性
ストレスによる目の充血には身体を休めることが一番大事ですが、症状をまず改善したいときには目薬を使用するのも1つの対処法です。薬局で買える効果的な目薬を紹介します。

1-1 疲れ目に:目に栄養を与えて疲労を緩和する目薬

目の疲れには、目の新陳代謝を活発にしたり、血行を促進させたりすることによって目の疲労回復を目的とする成分が入った目薬を使用するのが効果的。市販の目薬で、以下の成分が含まれているものが目の疲労改善におすすめです。

<成分>

・パンテノール(プロビタミンB₅)
・ビタミンB₆(ピリドキシン塩酸塩)
・ビタミンE(酢酸d-α-トコフェロール)
・タウリン(アミノエチルスルホン酸)
・L-アスパラギン酸カリウム

1-2 疲れ目に:ピント調節機能を改善する目薬

自律神経の乱れで目のピント調節機能が正常に働かなくなると、目の筋肉(毛様体筋)が緊張し、筋肉疲労が起きます。その改善には、目のピント調節機能を改善する成分が含まれている目薬を使用しましょう。市販の目薬で、以下の成分が含まれているものが目のピント調節機能の改善におすすめです。

<成分>
・ネオスチグミンメチル硫酸塩
・ビタミンB₁₂(シアノコバラミン)

2 ドライアイ(目のかわき)に:目に潤いを与えてくれる目薬

ドライアイ(目のかわき)には、目に潤いを与える成分が配合されている人工涙液の目薬がおすすめ。市販の目薬で、以下の成分が含まれているものがドライアイ(目のかわき)対策になります。
また、コンタクトを使用している人は、コンタクト装着時でも使用可能なタイプかを確認してくださいね。

<成分>
・コンドロイチン硫酸エステルナトリウム
・ヒアルロン酸ナトリウム
・塩化ナトリウム
・塩化カリウム
など

目を充血させないための日常的なリラックス法

アロマオイル
日々のストレスに加え、近年ではパソコンやスマホによる心身へのストレスも問題になっています。目を充血させないため、日常的にできるストレス対処法をチェックしましょう!

パソコン・スマートフォンを正しく使い疲れ目を防ぐ

ディスプレイを長時間見続けることで起きる目の疲れを「VDT(Visual Display Terminal)ストレス」と言います。このVDTストレスにより交感神経が優位になると、自律神経が乱れ、目が充血することがあります。予防のために、パソコンなどを使う際には以下を心がけましょう。
  1. 1時間ごとに約15分は目を休める
  2. パソコン画面と目の距離は40cm以上、スマートフォンの場合も30㎝以上は離す
  3. ディスプレイの明るさを作業する場所に合わせて調整し、目にかかる負担を軽減する
  4. 就寝の60分前には使用を控える

良質な睡眠をたっぷりとり、目と身体を休める

ぐっすりと眠ることで、自律神経のバランスが整い、ストレスが緩和されて疲れ目による目の充血もおさまりやすくなります。副交感神経が優位になるとリラックスできるので、夜はあまり目に光などの刺激を与えず、部屋の照明を暗めに調節して音楽を聴くなどしてゆったり過ごしましょう。

1日のストレスを寝る前に解消! おすすめの就寝前ルーティン

良質な睡眠はストレスをやわらげます。心地良く眠るためには、就寝1~2時間前にリラックスできる時間を意識的につくると効果的です。寝る前におすすめの過ごし方を紹介します!
  • リビングなど賑やかな場所より、寝室などの落ち着ける場所で過ごす
  • 部屋の照明を落とし、間接照明などで温かい色の灯りをつける
  • リラックスできるBGMをかける
  • お気に入りのアロマをたく
  • 就寝1時間〜1時間半前位に、38度~40度のぬるめのお湯に20分ほど入浴する
  • 就寝1時間前までに、軽いストレッチやヨガで体を動かす
  • 就寝30分前位にハーブティー、ホットミルクなどノンカフェインのドリンクで体をあたためる

目の充血にストレスは大敵! リラックスして綺麗な瞳を守ろう

リラックスしている女性
毎日慌ただしく過ごしていると、つい自分を労わる時間を忘れてしまいがち。でもストレスは目にも良くありません。意識的にリラックスする時間を設けたり早めに目薬でケアしたりしましょう。

人気のキーワード

TOP