片目だけ涙が出るのは病気のサイン? 理由を知って、正しくケアしよう
眼科医 内野美樹 先生

監修
眼科医 内野美樹 先生

ケイシン五反田アイクリニック院長、医学博士。山梨医科大学卒業後、慶応義塾大学の眼科学教室に入局。2015年にハーバード大学で公衆衛生学修士を取得し、ドライアイを中心にした疫学研究を行う。小さなお子さんからご年配の方まで、患者さんの眼をしっかり観察して、一人一人にあった治療法を提案。気軽に安心して来院できるクリニックを目指している。

普段生活している中で、なぜか片目だけ涙が止まらなくなったことはないでしょうか。それは、片方の目に異物が入って、刺激を感じているからかもしれません。しかし、実は病気が潜んでいることも。この記事では、片目から涙が出る原因と対処法を紹介していきます。

片目だけ涙が出る原因とは

目をかく女性
目にゴミやホコリなどが入ると、その刺激に反応して涙が溢れ出ることがあります。ときには涙の通り道が詰まる疾患によって、涙があふれ出ることも。片目だけ涙が出るという症状は、どんなことが原因で起こるのか紹介します。

目にゴミやホコリが入ることで涙が出る

片目に異物が入ったときには、異物が入った片目からだけ涙が出ることがあります。
目にホコリや砂、花粉などが入ると、それらを排除しようと、体が反応し涙が出ます。
異物の多くは自然と涙で排除されますが、鉄粉や微細なガラス片などは目の表面に刺さったまま取れずまばたきだけで角膜を傷つけたりすることもあるので、早めに眼科を受診することが必要なので要注意です。

逆まつげによって涙が出る

逆まつげによりまつげが目の表面に当たると、その刺激が原因になり涙が出ることがあります。
逆まつげには、主に以下の3タイプがあります。
  1. まつげの毛根部分の炎症が原因で不揃いにまつげが生え、眼球の方にまつげが向いている
  2. 生まれつきまぶた自体が内側にまくれており、まぶたが反り返ってしまうことでまつげが眼球側に入り込む
  3. まつげが生まれつき眼球に向かって生えている
また、逆まつげは大人だけでなく子どもにも起きることがありますが、成長とともに改善することも多いので様子を見ることもあります。ただし、成長しても治らない場合は手術を行うこともありますので、気になる場合は眼科を受診しましょう。

ドライアイ(目のかわき)による目の刺激で涙が出る

ドライアイ(目のかわき)は、パソコンやスマートフォンを長時間使用することでまばたきの回数が減ったり、エアコンなどで乾燥した室内に長時間居ることで生じます。

結膜炎による炎症で涙が出る

まぶたの裏側と白目をおおっている粘膜が、細菌やウイルス、アレルギー物質などにより炎症を起こした状態を結膜炎と言います。症状としては、涙目、目やに、目のゴロゴロした感覚、充血などがあります。中でも細菌性やウイルス性の結膜炎では、片方の目にだけ発症し、片目から涙が出ることもあります。
ウイルス性による結膜炎の場合は、他人へうつしてしまうことがあるので、家族間でタオルなどを共有しないようにするなど対策が必要です。

目の炎症により涙が出る

⾓膜や結膜がハウスダストや紫外線、強い⾵などの外的刺激を受けると、⽬に炎症が起こることがあります。それにより涙が過剰に分泌されて、片目から涙が出ることもあります。

その他の疾患の可能性で涙が出る

他にも、目の疾患が原因で片目から涙が止まらなくなることもあります。
例えば、涙の通り道に障害が起こることで、涙がうまく流れることができず溢れてしまう病気などもその1つ。この場合、病院で必要な処置(手術)をすることで、症状は改善します。
また、群発頭痛と呼ばれる強い痛みを伴う頭痛の症状において、痛みがある側の目が充血したり涙が溢れたりすることがあります。

片目だけ涙が出るときの対処法

目薬をさす女性
片目から涙が出る場合、症状に応じた対処法を取ることが必要です。ここでは、症状ごとにどのような対処をすれば良いのか紹介します。

涙の分泌過多やドライアイ(目のかわき)が原因なら、市販の目薬を使う

目に入ったゴミやホコリなどの異物を洗い流す際や目の乾燥によって起きるドライアイ(目のかわき)には、目に潤いを与える以下の成分が配合されている目薬を使用するのがおすすめです。

<成分>
・コンドロイチン硫酸エステルナトリウム
・ヒアルロン酸ナトリウム
など

アレルギー反応が原因のときも、市販の目薬で対処できる

花粉やハウスダストなどによりかゆみが出てきたときや、アレルギー性結膜炎を発症したときには抗ヒスタミン成分が配合された目薬を使用するのがおすすめです。抗ヒスタミン成分配合の目薬は、アレルギー反応で細胞から出てくる「ヒスタミン」という物質の働きを抑えることにより涙がおさまります。

<抗ヒスタミン成分>
・クロルフェニラミンマレイン酸塩
・ケトチフェンフマル酸塩

処置が必要な疾患が原因なら、まずは眼科を受診

常に目が潤んでおり、目薬を使用しても涙が溢れ出るようなときは眼科で診察を受けましょう。
涙の通り道が詰まっていたり、狭くなっていたりする場合は目薬では治らないため、手術が必要になる可能性もあります。
また、群発頭痛の場合も目薬だけでは治らないため、病院での頭痛の治療が必要となります。

片目だけ涙が出る症状は赤ちゃんにも多い! その原因とは

涙が出る赤ちゃん
片目だけ涙が出る症状は、赤ちゃんによく見られる症状でもあります。赤ちゃんが泣いていないのに片目だけ涙が出ているような場合は注意しましょう。

生後1年以内に治まることが多い、先天性鼻涙管閉塞(せんてんせいびるいかんへいそく)

赤ちゃんが、泣いていないのに片目に涙や目やにがたまっていることがあったら、先天性鼻涙管閉塞が疑われます。これは、涙が流れる道が詰まり、常に涙目になったり、涙が溢れて頬を伝い落ちたり、目やにが多くなる疾患のこと。この症状は両目に起こることもあれば、片目だけに現れ、片目から涙が溢れることもあります。
生まれつきであることが多く、主に生後3〜12週頃に発見されるようです。生後1年以内に自然治癒することが多い病気ですが、治療が必要になる場合もあるので、眼科の受診をおすすめします。赤ちゃんにこの症状がみられたら、目の中に涙や目やにがたまったままだと細菌が繁殖する元になるので、清潔なガーゼなどで頻繁に拭き取ってあげることが必要です。

成長とともに落ち着いてくる、逆まつげ

逆まつげも赤ちゃんによく見られる症状の1つ。これが原因で片目から涙が出ることがあります。
赤ちゃんや小さな子どもは上下のまぶたの脂肪が多く、まぶたの向きが内側(眼球側)に向きやすいため、まつげが眼球をこすって涙が出たり充血したりするといった症状が現れることが多いようです。
これは成長とともに改善することも多く、基本的には経過観察になることが多いのであまり心配はいりません。ただし、小学生くらいになっても改善しない場合や、角膜炎などを繰り返している場合には、視力低下を防ぐために手術がすすめられる場合もあります。

片目だけ涙が出るときは、原因をしっかり調べて早めの対策を

目を押さえる女性
片目から涙が出る症状には、自然治癒するものや市販薬での対処が可能なもの、また、手術が必要な病気まで、さまざまな原因があります。まずは早めに目薬などでケアをして、気になる症状がある場合は専門医の診察を受けるようにしてくださいね。

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