花粉で目がかゆいときは?目薬を使うおすすめのタイミングと正しい使い方
眼科医 松田 秀穂 先生

監修
眼科医 松田 秀穂 先生

まつだアイクリニック院長。日本眼科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。「Quality of Lifeの向上を目指して」 地域の皆さまが“安心”“納得”できる医療を提供している。一般の眼科疾患に加えて、日帰り白内障手術を中心とした眼科手術を行っており、緑内障手術・網膜剥離手術・硝子体手術・眼瞼手術・翼状片手術なども行う。

花粉が飛ぶ時期になると、毎年辛い思いをしている人も多いのではないでしょうか。花粉症はアレルギーの1つです。その中でも、「目のかゆみをどうにかしたい」と悩む人には、目薬の使用がおすすめ。この記事では花粉で目に症状が出るメカニズムや目薬の種類と選び方、正しい使い方を紹介します。

花粉で目に症状が出るメカニズムと、おすすめの目薬

目が腫れている女性
かゆみだけでなく、充血したり涙が出たりすることもある花粉症。なぜ花粉で目に症状が出るのか、そのメカニズムとともに、花粉症によるアレルギー症状におすすめの目薬をご紹介します。

花粉で目に症状が出るメカニズムとは?

目は常に外気にさらされているので、どうしても花粉が侵入してしまいます。侵入した花粉などのアレルゲンは、結膜内などにある肥満細胞表面に存在するIgE抗体にくっつき、ヒスタミンが放出されます。
ヒスタミンとは、目の知覚神経などを刺激する物質のことで、これが放出され血管が刺激されると充血が起こり、知覚神経が刺激されると目のかゆみが起きます。さらに、知覚神経の異常が涙腺につながる神経を刺激すると、涙が出るという症状が起きるのです。

花粉で目がかゆいときに使える目薬は3種類ある

花粉症の人が使う目薬には、大きく分けて抗アレルギー点眼薬、ステロイド点眼薬、免疫抑制点眼薬の3種類あります。
このうち、ステロイド点眼薬と免疫抑制点眼薬は症状が重い人が使うことがほとんどで、医師による診察が必要となります。
抗アレルギー点眼薬は眼科で処方されるものもあれば、ドラッグストアなどで購入可能なものもあります。ドラッグストアで購入する場合は、症状にあったものを選ぶようにし、自分で判断できない場合は、薬剤師や登録販売者に相談しましょう。

目薬を使い始めるタイミングと扱い方

目薬をさす女性
毎年、花粉症で目にアレルギー症状が出てから目薬の使用を始める人が多いかもしれません。目薬を使い始めるタイミングとともに、目薬の使い方と保管方法を紹介します。

目薬を使い始めるタイミング

花粉が飛び始めた頃は体内に入る花粉がごく少量だったとしても、繰り返されることで鼻や目は花粉に敏感になっていきます。
そのことから、花粉症への対処は「初期療法」が大切。眼科を受診し、目薬を使い始めるタイミングとともに医師に相談しましょう。
また、症状を感じるようになったら早めに市販の目薬を使用するのもおすすめです。
対象の目薬や使用方法については、医師・薬剤師の指導に従いましょう。または、商品の説明文書をよく読んで使用するようにしましょう。
花粉症による目のアレルギー症状に悩まされている人は積極的に目薬を使用してください。

目薬の正しい使い方と注意点

目薬を使用する際は、製品に添付されている説明文書を読み、用法・用量などの使用方法を必ず確認しましょう。
<目薬の正しい使い方>
1.まずは手を洗い清潔な状態にする
2.頭を上げて天井を見つめ、片方の手で下まぶたを優しく引っ張り、もう片方の手で目薬の容器を目の真上に持ってきて、点眼する
3.まつげや顔などに付着した目薬は、清潔なティッシュペーパーなどで拭き取る
<注意点>
・薬液を清潔な状態に保つため、容器の先端部分がまぶたやまつげに触れないようにする
※触れると、雑菌や目やになどにより、薬液が汚染したり混濁(こんだく)したりすることがあります。もしそうなった場合は使用を中止しましょう
・目薬を使用したことで、目の充血や腫れなど何か異変が起きた場合は使用を中止し、医師または薬剤師などに相談する

目薬の保管方法と注意点

直射日光の当たらない、涼しい所に密栓した状態で保管しましょう。専用の袋が付いているものは、袋に入れて保管を。
基本的に目薬は冷蔵庫で保管しても問題ありませんが、凍結させてしまわないようにしましょう。もし凍結してしまったら、溶けて見た目が元に戻ったとしても使用しないようにしましょう。
目薬の使用期限は使用状況や保管条件(場所など)により異なるため一概に言えませんが、一般用医薬品の場合は開封後(キャップを開けたあと)は3ヵ月が目安です。
ただし、目安の3ヵ月以内であっても、液に浮遊物やにごりが見られた場合にはその時点で使用を中止しましょう。
<保管する際の注意点>
・上記を踏まえた上で、子どもの手の届かないところで保管する
・救急箱などに目薬を入れる場合は、湿布薬などのニオイの強いものと一緒に保管しない
※湿布薬などの芳香成分が目薬に移ってしまう恐れがあります

目薬の選び方と、注意したいポイント

目薬のイメージ画像
花粉症によるアレルギー症状に効果を発揮する一部の抗アレルギー点眼薬は、ドラッグストアなどで購入できます。購入する際は、配合されている成分を確認しましょう。また、コンタクトを使用している人は、目薬選びに注意が必要です。選び方と注意したいポイントを、それぞれ詳しく解説します。

市販の抗アレルギー点眼薬

市販されている多くの抗アレルギー点眼薬には、抗アレルギー成分の他に、抗ヒスタミン成分も含まれています。
抗アレルギー成分には、ヒスタミンを始めとするアレルギー誘発物質の発生と放出を防ぎ、症状を緩和する働きがあり、抗ヒスタミン成分には、放出されてしまったヒスタミンが受容体に結合しないようにブロックする働きがあります。
それぞれの代表的な成分名は以下の通りとなっています。
<抗アレルギー成分>
・クロモグリク酸ナトリウム
・アシタザノラスト水和物

<抗ヒスタミン成分>
・クロルフェニラミンマレイン酸塩
・ケトチフェンフマル酸塩

市販の目薬を購入する際には、これらの成分が含まれているかチェックしてみましょう。

コンタクトを使用している人は要注意

コンタクトを装着しているときには使用できない抗アレルギー点眼薬があるので、商品のパッケージに記載されているコンタクトに関する注意事項をよく読んで選びましょう。
花粉の時期は、コンタクトではなくメガネを使うことを検討するのも1つです。メガネで花粉の侵入をある程度防げたりします。

花粉を玄関で食い止めるおすすめの方法

帰宅した玄関先の女性
窓や玄関、洋服や髪の毛など、家の中に花粉を侵入させる経路はさまざまです。とはいえ、何と言っても大切なのは、玄関での水際対策。ここで花粉を食い止められれば、家の中に入る花粉の量を減らせます。おすすめの対策方法を紹介します。

濡れタオルで衣服に付着した花粉を落とす

花粉を家の中に持ち込まないため、玄関で衣服を手で払う人も多いのでは。しかし、花粉の粒子は軽いため、手で払うとその場で舞い上がり、顔や体に再び付着してしまいます。
そこでおすすめなのが、ウエットシートや濡れタオルを使う方法。衣服や髪の毛をポンポンと優しく拭き取ることで、花粉を舞い上がらせずに除去できます。ガムテープなどの粘着テープは手軽ですが、のりが衣服や髪の毛に付いてしまう恐れがあるので避けましょう。

空気清浄機を玄関に置く

空気清浄機は、リビングや寝室に置かれることが多いと思いますが、花粉シーズンは窓を開けて換気をしない人が多いのではないでしょうか。その一方、玄関は人が出入りするたびにドアが開くので、花粉が侵入してくる可能性があります。
そこで、玄関に空気清浄機を置けば、家の中に侵入する花粉の量を減らすことができるようになります。
その際には、定期的なフィルター掃除を忘れずに。また、掃除をするときには花粉を吸いこむのを防ぐためにも、マスクを着用するとよいでしょう。

適切なタイミングで目薬を使って、花粉症の辛さを軽減しよう

花粉が飛び始める前、症状を感じるようになったら使い始めて、目のかゆみや充血などを早めに改善しましょう。目薬の使用と併せて玄関で花粉を除去したり、コンタクトを使用している人は花粉の時期だけはメガネにするなどの花粉症対策を行って、日々の生活の質を向上させてくださいね。

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