目の疲れをとるツボを知りたい! 自分でできる疲れ目対策もチェック
眼科医 小島隆司 先生

監修
眼科医 小島隆司 先生

医学博士、眼科専門医、専門研修指導医。眼表面の専門医で、角膜、屈折矯正手術および白内障手術を数多く執刀。特にドライアイ研究においては日本の第一人者。患者さんの視機能の向上に役に立てるようにと日々考え、対話を大切に日々診察にあたっている。また眼科学分野の発展を目指し、現在も慶應義塾大学で基礎研究および臨床研究を進めている。

目の疲れは、日常的に目を酷使することで起きる症状です。目がかすむ、痛い、しょぼしょぼする、などの違和感を覚えた時には要注意。悪化すると、肩こりや頭痛、全身の倦怠感を引き起こすことも。そうなる前に、ツボ押しやマッサージによる疲れ目対策もおすすめです。この記事では、疲れ目の時におすすめのツボ押しやセルフケアの方法を紹介します。

目の疲れが起きる原因とは

目をマッサージする女性
目の疲れは、スマートフォンの使用や合わないコンタクトの装着など、日常生活のさまざまな行動によって目の中にある筋肉が張ることで生じます。まずは、目の疲れが起きる原因について説明します。

パソコンやスマートフォンの長時間使用

パソコンによるデスクワークや、スマートフォンを長時間見続けるなど、近くのものを見続けることで目の疲れが起きます。
これは、目のピント調節を行っている毛様体筋が緊張し、疲弊することが原因です。毛様体筋は、遠くを見ると緊張が緩み、パソコンなど近くのものを見ると緊張した状態が続くため、目が疲れてしまうのです。
この、パソコンなどのディスプレイを長時間見続けることで起きる目の疲れは「VDT(Visual Display Terminal)症候群」という病気の症状の一つでもあります。
 ※VDT症候群とは、ディスプレイを長時間見ることにより眼精疲労や首肩、腰等の痛み、さらには不眠や抑うつ状態等の精神症状を引き起こす病気のことです。

度数の合わないメガネやコンタクトの使用

メガネやコンタクトの度数が合っていないと無理に目のピントを合わせようとするため、毛様体筋が疲弊し目が疲れてしまいます。
メガネやコンタクトを使用し始めた時には度数が合っていても、年月を重ねると視力も変化したり、気づかないうちに度数が合わなくなっていることもあるので、注意が必要です。気になった時には眼科を受診し、自分に合っているものを使用するようにしてください。

目のかわき(ドライアイ)

目のかわき(ドライアイ)はパソコンやスマートフォンの画面を長時間見続けることでまばたきの回数が減ったり、エアコンで乾燥した室内に長時間滞在したりして目が乾燥することで起こります。湿度の低い冬や、強風時に外にいるときにも起こりやすいです。
これらの要因などで目の表面を保護する涙の量が減り、目のかわき(ドライアイ)の状態が続くと必要以上に目に負担がかかってしまうことで目の疲れを引き起こすことがあります。

疲れ目を感じた時の対処法

疲れ目を感じた時の対処法
目の不調を感じたら眼科へ行って診察を受けるのがベストですが、時間がとれない場合には、まずは自分でできる対処法を試してみましょう。毎日簡単にできるさまざまな対処法を紹介します。

目の疲れをとる眼球体操やツボ押しをする

眼球体操は、眼球とその周辺の滞った血行を促すことで、緊張した筋肉を柔軟にし、目の疲れに効果があると言われています。
やり方は、正面を見た状態から、顔は動かさずに目元だけを左右や上下に数秒ずつ動かしていくだけととても簡単です。
また、目の疲れに良いとされるツボを押すのもおすすめです。(具体的なツボについては、他の対処法も紹介した後に紹介します。)

目を温める・冷やす

目を温めると血行が良くなり、目の筋肉の緊張がほぐれるため、蒸しタオルを使ってまぶた全体を温めることで疲れ目を緩和させることができます。また、蒸しタオルの上からツボ押しをするとさらに効果的です。

蒸しタオルの作り方はとても簡単です。濡らして絞ったタオルをラップで包み、500~600Wの電子レンジで30~60秒加熱すれば出来上がりです。加熱直後のタオルはとても熱いので、やけどしないよう注意しましょう。
タオルが手に取れる温度になったら、タオルを軽くほぐし、目の上に乗せやすい形にしてください。目を閉じ、まぶたの上からそっとタオルをかぶせ、5~10分程度目を温めてください。(タオルがぬるいと感じた場合は、10~20秒ずつ追加で加熱し、一気に温めて熱くなりすぎないよう様子を見ながら温めてください。)

ただし、目が充血しているときは炎症をとるために、温めるより冷やした方が効果的です。この場合は、冷やしタオルや市販の冷却タオルを使用しましょう。
冷やしタオルは、水で濡らして絞ったタオルをビニール袋に入れて冷凍庫に入れ、1時間ほどおいておくと出来上がります。冷蔵庫ならひと晩置いておいたものを使うとよいでしょう。

目の疲れ用の目薬を使う

疲れ目には、以下の成分が含まれた目薬を使用するのがおすすめです。
ピント調節機能を改善する成分「ネオスチグミンメチル硫酸塩」や「ビタミンB12(シアノコバラミン)」が含まれている目薬が効果的ですので、ドラッグストアで探してみましょう。ただし、コンタクトの種類によってはコンタクト装着時に使用できない目薬もあるので、パッケージに記載されているコンタクトに関わる表記も確認して選んでくださいね。

目の疲れにおすすめのツボをチェック!

目の疲れが気になる時におすすめのツボと、ツボ押しの手順を紹介します。頭痛などの症状の緩和も期待できるツボもあるので、デスクワーク中の休憩時間にツボ押しをして目をスッキリさせるのにおすすめです。
ツボを押す際は、指の腹でゆっくりと押しましょう。
目の疲れにおすすめのツボ
・睛明(せいめい)
目頭(目のいちばん内側)と鼻の付け根の間のくぼみにあるツボが睛明です。
このツボは、視力を回復させて目のかすみを改善する効果があるとされています。その他に、目の充血、目の痛みなどにも効果があると言われており、デスクワークなど、長時間パソコンや細かいものを見て作業する人におすすめです。

・太陽(たいよう)
眉尻(眉毛のいちばん外側)と目尻(目のいちばん外側)を結んだ線の真ん中から少し外側に寄ったところにある、こめかみのくぼみにあるツボが太陽です。
このツボは、頭痛、めまい、目の充血などに効果があると言われています。

・魚腰(ぎょよう)
眉毛の真ん中のくぼみにあるツボが魚腰です。
目の充血、腫れ、痛み、目のかすみなどに効果があると言われています。

・瞳子髎(どうしりょう)
目尻のさらに指1本分外側にあるツボが瞳子髎です。
眼痛や頭痛などに効果があると言われています。

・四白(しはく)
瞳の中心の真下で、頬骨の下のくぼみにあるツボが四白です。
目の充血、目のかゆみ、目の痛みの他にめまいや頭痛などに効果があると言われています。

目の疲れを防ぐために! パソコン・スマートフォン使用時の注意点

パソコンを使用する女性
パソコンやスマートフォンのディスプレイを見続けることによる目の疲れは、放置すると、目のみならず頭痛や肩こりなどの不調も引き起こしたりします。パソコンやスマートフォンを使用している時にできる対処法を紹介します。

こまめな休憩をとる

同じ姿勢のまま長時間パソコンやスマホ作業を続けると、目のピント調節機能が徐々に低下し目が疲れてしまいます。1時間ごとに約15分は休憩を取り、目を休めましょう。
休憩時間には、スマートフォンなどを見ないようにし、ツボ押しや眼球体操をして目の疲れをほぐすことがおすすめです。

パソコンやスマートフォンと適正な距離を保つ

パソコンを使用するときは、画面との距離は40cm以上、スマートフォンの場合も、目から画面までの距離を30㎝以上は離しましょう。画面を見上げる姿勢はドライアイの原因になるので、顔よりも下の位置で見るのがおすすめです。

室内やディスプレイの明るさを調整する

パソコンを使うときは室内の灯りを見直すなどして、ディスプレイの明るさと室内の明るさの差が少なくなるようにしましょう。
ディスプレイの明るさを周りの明るさと合わせて調整することで、目にかかる負担を大きく軽減することもできます。
また、外の光がパソコンのモニターに映りこまないように位置を変えたり、カーテンなどで遮光したりして見えやすい状態にするのもおすすめです。

ツボ押しなどで、目の疲れに対処しよう!

パソコンやスマートフォンの使いすぎなどにより、いつの間にか目は疲れています。目の疲れは放置すると眼精疲労となり、頭痛や肩こりなど身体にまで悪影響を及ぼすこともあります。そうなる前に、ツボ押しなどのセルフケアがおすすめです。ひどい時には症状に合わせた目薬も使用して、日常的に目をいたわってくださいね。

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