眼精疲労は目薬で解消できるの? 疲れ目との違いについても紹介
眼科医 高橋和晃 先生

監修
眼科医 高橋和晃 先生

山形県にある、高橋眼科クリニック 院長。医学博士、眼科専門医。一般眼科診療にはじまり、白内障の日帰り手術や糖尿病網膜手術、レーザー治療まで幅広く行っている。江戸時代より7代続く、地元の方に愛される医院として天童市にて診療を行っており、どんな小さな疑問でも気軽に相談できるよう日々患者さんに向き合っている。

眼精疲労とは、目を酷使することなどで起きる症状のこと。パソコン作業が多かったり、細かい文字を見る機会が増えたりすると目の不調を感じやすいと言われていますが、目の疲れだけでなく、吐き気や頭痛など、目以外の症状を伴うこともあります。
この記事では、眼精疲労と疲れ目の違い、つらい症状を緩和するための対策について紹介します。

眼精疲労とは

目頭をおさえる女性
「最近、目の疲れに加えて身体の不調も感じる気がする…」。そのような場合は、単なる疲れ目ではなく、眼精疲労である可能性があります。はじめに、眼精疲労と疲れ目の違いや、眼精疲労の特徴について紹介します。

疲れ目とは異なる

「疲れ目」は休憩や睡眠など一定時間目を休めたり、疲れ目に効く目薬の使用によって、緩和・改善する目の症状です。
一方、目を休ませても目の疲れが回復せず、さらに頭痛や肩こりなどの身体の症状を伴うものを眼精疲労と言います。一般的に疲れ目と言われているのは「目の疲労(眼疲労)」であり、眼精疲労は、より重い症状を指します。

眼精疲労は目以外の症状も現われる

眼精疲労は、目の症状だけでなく、その症状は全身におよびます。代表的な症状は以下のようなものです。

【目の症状】
目がショボショボする、目が重くなる、目の奥が痛む、目がかすんだりぼやける、視点を移動したときすぐにピントが合わない、目が充血する、目がかわく、普段よりまぶしさを感じる

【身体の症状】
肩や首がこる、頭痛がする、けだるい(倦怠感)、めまいやふらつきがある、吐き気がする

眼精疲労を引き起こす3つの原因

メガネをかけようとする女性
眼精疲労はさまざまな原因によって起こりますが、大きく分けて3つあり、それぞれの原因について解説します。

1. 目のピント調節を行う毛様体筋の疲労による影響

物が見えづらいときに、無理にピントを合わせて見ようとすると、目の筋肉の疲労へとつながります。例えば遠視や乱視など、「視力が悪い」とされる人の中で、メガネやコンタクトにおいて適正に視力矯正されておらず、合わないまま使用している場合、目のピント調節を行う毛様体筋を酷使する機会が増え、疲労が溜まってしまいます。

また、涙の量が減って目がかわく、いわゆる目のかわき(ドライアイ)の状態のときにも、物がはっきり見えにくくなることがあるため、無理にピントを合わせようとすることで毛様体筋に負担がかかります。

2. 作業環境の影響

パソコンやスマートフォンなどを使用する際、その作業環境も目を疲れさせる原因になります。例えば、休憩を取らずに長時間画面を見つめて作業を続けたり、照明の照度が合っていないと、目が疲れる原因となります。また、エアコンの風による目のかわき(ドライアイ)が影響する場合もあるようです。

3. 身体の健康上の問題による影響

健康状態そのものに問題がある場合も、目に負担をかけることがあります。また、疲れやすい体質の場合や、生活リズムが不規則で体調に影響を与えるような環境に身をおいている場合などにも、目の疲労を引き起こします。
他には、ストレスが原因で自律神経に影響がある場合なども眼精疲労になることがあるようです。

目薬では解消できない眼精疲労

メガネをはずし目頭をおさえる女性
物を見るときに目のピント調節がうまくできないなど、見え方への影響はもとより、頭痛や吐き気といった全身症状の原因にもなりえる眼精疲労。眼精疲労は、一般的には目薬では解消できないため、眼科やかかりつけ医への早めの受診がおすすめです。目薬で症状を緩和できるのは、眼精疲労ではなく、その初期段階である疲れ目(眼疲労)の場合です。

ここからは、眼精疲労になる前の、疲れ目(眼疲労)を緩和させる目薬の選び方を紹介します。眼精疲労に悪化してしまう前に対策をしましょう。

まずは疲れ目の原因を見つける

対策をするにしても、その方法を間違えていると悪化し、眼精疲労につながってしまうこともあります。そのため、まずは疲れ目の原因を見つけることが大切です。

例えば、長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用が原因であれば、近くの画面を見続けたことでピント調節機能の低下によると考えられます。

また長時間近くの画面を見続けていると、まばたきの回数が減少して目がかわいてしまいます。目がかわいてしまうと、本来涙がもつ目の表面を保護する働き、目に必要な酸素や栄養素を補給する働きに支障をきたしてしまい、その結果疲れ目を引き起こす場合もあります。

目のかわきを感じる場合には意識的にまばたきをしたり、加湿をする、また目の疲れを感じる場合には休憩をこまめにとるなどの対策がおすすめです。その他にもパソコンやスマートフォンの画面との距離を40cm以上離すなど適正な距離を保つ、室内やディスプレイの明るさを調整するなど、できるだけ目の負担を軽減できるように工夫をすると良いです。

またストレスなどによる自律神経の乱れなどが原因の場合は、既に疲れ目ではなく眼精疲労を引き起こしている可能性があるため、ストレスを感じていることはないか振り返ってみることも大切です。

「目の酷使」が疲れ目の原因なら、目薬を上手に活用する

前述のように、疲れ目にはさまざまな原因が考えられますが、目の酷使が原因である場合は、目薬を活用することで、その症状を緩和することもできます。

例えば、目を酷使し、ピントが合いづらいといった症状には、ピント調節を行う毛様体筋に働き、目の疲れを回復させる成分が配合されているものを、まばたきの減少などによる目のかわきには、目のうるおいを保つ成分が配合されているものを選ぶなど、それぞれの原因に合った目薬を上手に活用すると良いでしょう。

また疲れ目なのか眼精疲労なのかの判断がしづらい場合には、まずは眼科やかかりつけ医を早めに受診し、原因の把握と適切な治療を受けましょう

眼精疲労になる前に! 目の疲れ(眼疲労)には配合成分をチェックして目薬を選ぼう

目薬をさす女性
目薬で緩和できる疲れ目の場合には、どんな成分が配合されているものを選べば良いのでしょうか? ここでは、具体的な成分を紹介します。目薬を購入するときには、以下の成分が含まれているか、チェックしてみてくださいね。

疲れ目におすすめの成分

以下のような成分が、目の疲労を回復させる効果がありおすすめです。

<栄養成分>
 ・タウリン(アミノエチルスルホン酸)
 ・ビタミンB6(ピリドキシン塩酸塩) 
 ・パンテノール(プロビタミンB5
 ・ビタミンE(酢酸d-α-トコフェロール)

ピント調節機能を改善する働きのある成分
 ・ネオスチグミンメチル硫酸塩
 ・シアノコバラミン(ビタミンB12

眼精疲労の原因を見つけ、早めに対処を

パソコンとメガネ
眼精疲労とそれにつながる疲れ目にはさまざまな原因があり、その原因によって対処法も異なります。
眼精疲労は自律神経の乱れなどが原因である場合や、片頭痛、緑内障や脳疾患といった別の疾患が原因である場合もあるため、まずは専門医に相談してみましょう。

また、目の酷使や作業環境などが目の疲れの原因である場合は、こまめな休憩や目に負担をかけないような環境の見直しなどと併せて、原因に適した目薬を活用してみてはいかがでしょうか。目も身体もスッキリとした日常を取り戻し、快適に過ごしてくださいね。

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