こどものコンタクトは何歳から? 正しい使い方を知り安全にデビューしよう
眼科医 綾木雅彦 先生

監修
眼科医 綾木雅彦 先生

神奈川県にある、おおたけ眼科つきみ野医院 院長。日本眼科学会認定眼科専門医。医学博士。 ドライアイ、花粉症などの相談から白内障・緑内障・硝子体・眼瞼形成の手術患者の診療を行っている。患者さん一人ひとりのさまざまな症状に合わせた最適な治療を提供し、地域の皆さまのお役に立つことで、信頼され、親しまれる医院を目指している。

視力が低下した小学生が「スポーツ時に邪魔になる」「見た目が嫌」などを理由にコンタクトを使いたがるケースが増えているそうです。小学生にコンタクトを使用させても目に影響はない?何歳からなら大丈夫?そんな心配ごとを抱える保護者のために、この記事ではこどものコンタクト使用と注意点について紹介します。

こどもは何歳からコンタクトを使用できる?

視力検査するこども
小学生のこどもからコンタクトを使いたいと言われたら、親としては果たして大丈夫なのかと迷ってしまいますよね。こどもはいつからコンタクトを使用して良いのでしょうか?

コンタクトデビューは中学生からが望ましい

結論からいえば、コンタクトの使用に年齢制限はありません。何歳からでも使用することは可能です。ですが、一般的には小学生のうちにコンタクトを使用することは推奨されておらず、中学生になってからが望ましいとされています。なぜ小学生はコンタクトを避けた方が良いのか、ここから説明していきます。

小学生のコンタクト使用が推奨されない理由

目をこするこども
こどものコンタクト使用において、できれば中学生からが望ましいのには理由があります。コンタクトの管理やトラブル対応など、どういった観点から使用する年齢が推奨されているのか、紹介します。

適正な管理が難しいため

小学生がコンタクトを使用しない方が良い理由の1つは、こども自身でコンタクトを適正に管理することができない可能性があるからです。

例えば、コンタクトをつけているときには目をこすらない、汚れた手で触らない、洗浄・消毒を正しく行う、などの管理や衛生上のケアは小学生のこどもにとっては難しいこともあります。

そのことから、一般的にはこども自身で適正な管理ができるようになってから使用したほうが良いとされています。

トラブル対応が難しいため

コンタクトを装着しているときには、裸眼やメガネのときにはない急なトラブルが発生することもあります。

例えば、急にコンタクトが外れた、ゴミが目に入って痛い、などの場合には低学年ぐらいのこどもはこうしたトラブルに落ち着いて対処できません。目にゴミが入れば、コンタクトをつけたまま思いきり目をこすってしまうことも。

そのため、冷静に対処できる年齢になってからコンタクトを取り入れた方が良いとされているのです。

角膜への悪影響が懸念されるため

角膜で酸素が不足すると、眼球内にある角膜の透明性を維持する角膜内皮細胞の減少を助長させてしまうことがあります。酸素透過係数が高いコンタクトほど、酸素を通しやすいと言われていますが、ケアが不十分でタンパク汚れが残っていると、酸素が透過しづらくなり酸素不足を起こすことがあります。

角膜内皮細胞は、一度失ったら二度と元の状態には戻りません。このことからも、レンズケアがしっかりとできる年齢、できれば中学生あたりからの使用が望ましいと言えます。あまり早い時期からコンタクトを使用することはおすすめしません。

こどもにコンタクトを購入する場合のポイント

眼科に行くこども
小学生の使用はおすすめできないコンタクトですが、スポーツなどをやっていて、どうしても必要というケースも。こどもにコンタクトを購入する際に気を付ける点を紹介します。

保護者と一緒に眼科の診断を受けてから購入する

初めてコンタクトを使うときには眼科の受診が必要になります。特に小学生の場合は保護者が付き添い、視力や目の状態を一緒に確認し、こどもがコンタクトを正しく使っているかチェックできるようにコンタクトのつけ方・外し方やお手入れ方法などの説明を一緒に受けるようにしましょう。
今は、ネットなどで処方箋(指示書)なくコンタクトを購入することもできますが、選び方や購入には注意が必要です。コンタクトは、高度管理医療機器であるため、眼科を受診し、処方箋(指示書)を出してもらって購入するようにしましょう。

コンタクトを購入する前にメガネを作る

コンタクトを購入する前に、もしメガネを持っていなければ、まずは最初にメガネを作りましょう。コンタクトしか持っていないと、レンズを長時間つけてしまったり、目の調子が悪いときにもつけたままにしやすく、目に傷がつくなどの悪影響を及ぼすこともあります。

こどもの視力の矯正には、日常的にはメガネを使用し、必要なときにコンタクトをつける、という使い方がおすすめです。

最初に購入するコンタクトは1DAYタイプがおすすめ

コンタクトには、素材や装着方法などによりさまざまな種類があります。こどもが最初に使用するコンタクトとしておすすめなのは、1DAYタイプのソフトコンタクト。つけ心地が良く外れにくい上に、1DAYタイプの使い捨てなら毎日のレンズケアも必要ありません。

ハードコンタクトは外れやすいため、激しく動くこどもの使用には向いていません。ただし、どのタイプのレンズを使用するかは眼科医の診断に従い、あくまで参考にしてくださいね。

こどものコンタクト使用において、気を付けたいこと

眼科に行くこども
コンタクトを正しく使うためにはさまざまな使用上の注意があるので、保護者が正しく理解することが必要です。こどもがコンタクトを使い始めたときに気を付けるポイントを紹介します。

装着時間や日々のケアができているか確認する

こどもがコンタクトを使うときには、以下をチェックしましょう。
  • 決まった装着時間を守っているか
  • コンタクトを取り扱う際には手を洗っているか
  • 毎日きちんと洗浄・消毒を行っているか
これらのことが正しく守られていても、コンタクト使用時には目にトラブルが生じる可能性もあります。もしこどもの目に充血や目やになど気になる症状が現れたら、すぐに使用を中止させて眼科を受診するようにしましょう。

コンタクトは必要なときだけつけるようにする

コンタクトは目に蓋をするような構造のため、定められた時間よりも長く装着していると目に悪影響を及ぼす可能性も。例えばスポーツ時にコンタクトをつけたいという目的で使用している場合は、そのときのみ装着し、終わったらすぐ外すのがおすすめです。

保護者同伴で定期的に目の検診に行く

特に目に異常がなさそうでも、気が付かないうちに眼球に傷がついていたりする場合もあります。眼科の定期検診はしっかり受けるようにしましょう。

その際には必ず保護者も同伴し、こどもの目の状態や視力、コンタクトの取り扱い方が間違っていないかなどをきちんと把握しておきましょう。

身長が伸びている間は眼球の大きさも変化するため、形状やベースカーブなどの規格があっているかも定期検診でチェックしてもらうと良いですね。

こどもの目に違和感が!こどもへの目薬の差し方

目薬をさすこども
こどもがコンタクトを使用しているとき、目にゴミが入ったり目が乾いたりした場合は、目薬を使用しましょう。目薬の選び方や、上手な差し方を紹介します。

コンタクト使用中にゴミなどが目に入ったら、目薬を使おう

こどもがコンタクトを使用しているときにゴミなどが目に入ったら、すぐ外し、目薬を使用しましょう。

市販されている目薬のほとんどはこどもでも使用できますが、清涼感のある目薬を痛がるこどももいます。清涼感のないやさしいさし心地のものを選ぶと良いでしょう。パッケージに「こどもにも」と書かれた目薬や、防腐剤無添加の目薬を選ぶのがおすすめです。購入した目薬の説明文書に記載されている用法・用量に従って正しく使うようにしましょう。

目薬を使用しても痛がったり目が充血したりしている場合には、眼科を受診するようにしてください。

こどもへの目薬の差し方①基本の差し方

小さなこどもに目薬を差すのは大変ですよね。そこで、こどもへの上手な目薬の差し方を紹介します。まずは基本の差し方から。
1.石けんで手を洗う
石けんで手を洗う様子
2.こどもの下まぶたをさげ、眼球と下まぶたのあたりに目薬を落とす
※目薬の先端が目やまつげにふれないように注意
こどもに目薬を差しているお母さん
3.上を向いた状態で30秒~1分ほど目を閉じさせ、目薬が流れ出ないようにする
4.目のまわりについた薬液は清潔なガーゼやティッシュで拭き取る

こどもへの目薬の差し方②目薬が苦手なこどもの場合

足を開きこどもの頭を押さえて目薬を差すお母さん
1.足を開いて座り、その中にこどもを寝かせる。このとき、怖がらせないように注意しましょう
2.こどもの頭を押さえて点眼する

こどものコンタクト使用は、正しく使えるよう親子でチェックを

視力検査するこども
こどものうちは、どうしても必要なときだけコンタクトを使用するようにし、それ以外はメガネにするといった使い分けをおすすめします。

コンタクトを使う場合は、眼科を受診し、処方箋(指示書)を出してもらうようにしましょう。また、定期的に保護者も一緒に眼科に行くなどし、こどもの目の状態や視力をチェックできるようにしましょう。

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