コンタクトの処方箋(指示書)って本当に必要?入手方法や見方までチェック
眼科医 冨永隆志 先生

監修
眼科医 冨永隆志 先生

東京にある日暮里眼科クリニック理事長。日本眼科学会認定眼科専門医。子どものころ弱視だった経験から眼科の道に。緑内障、網膜疾患、小児眼科を中心に幅広い疾患に対応している。患者さん参加型の眼科医療を目指し、笑顔を絶やさず説明をしっかり行うことを心掛けている。

コンタクトは店頭ではもちろん、インターネットや通信販売でも購入できますが、目に直接着けるものだけに、選び方や購入には注意が必要です。そこで鍵になるのがコンタクトの処方箋(指示書)。目にぴったり合うコンタクトを購入するために必要な情報が記されています。この記事では、コンタクトの処方箋(指示書)の必要性や、もらい方などについて解説します。コンタクトは、高度管理医療機器であるため、必ず眼科を受診しましょう。

コンタクト購入時の処方箋(指示書)の必要性

まずは、コンタクトの処方箋(指示書)とはどんなものか、購入時には必ず必要なものなのかを、確認してみましょう。
使い捨てコンタクトとケース

コンタクトの処方箋(指示書)とは

使用者がコンタクトを安全に使用できるように、販売業者に対して「眼科医の処方・指示に基づく販売」が推奨されています。「どのコンタクトを、どのくらい購入するか(量)」が記載されており、具体的には以下のような内容になっています。
  • 販売名(製品名)
  • メーカー名
  • 規格(ベースカーブ、球面度数、直径、円柱度数、円柱軸、加入度数、その他)
  • 数量(使い捨て、頻回交換、定期交換では箱数、1箱のレンズ枚数等)
  • 装用方法(終日装用、連続装用)
  • 発行日、有効期間
  • 医療機関名、医師名、連絡先、捺印

店頭で購入する場合

眼科で、目の健康状態を調べて、コンタクトに対する適性を検査します。問題がなければ、目にあったコンタクトが処方されます。また、コンタクトを正しく扱えるようになるために、着脱の練習やケア方法の指導も行われます。

眼科医に検査・処方をしてもらったら、店舗でコンタクトを購入します。お店によっては、眼科に併設しているところもあります。眼科医から出してもらったコンタクトの処方箋(指示書)には製品が指定されています。

ネットや通販、量販店で購入する場合

ネットや通販、量販店(ディスカウントストア)では、コンタクトの処方箋(指示書)がなくても買えるお店もあります。

一方でメーカーや種類によっては、コンタクトの処方箋(指示書)の提出を求められることも。コンタクトを注文するときは、自分で商品や度数を選択する必要があるので、コンタクトの処方箋(指示書)を見ながら選ぶのがベストです。

目のトラブルを防ぐためにも、コンタクト購入の際は定期的に眼科を受診し、自己判断でネットや通販、量販店などで購入しないようにしましょう。

コンタクトの処方箋(指示書)なしで購入するリスク

鏡で目を見る女性
見え方や目の状態は、生活環境や成長段階によっても変動があります。コンタクトは度数だけでなく、材質やベースカーブの違いなど、目の動きや状態に合わせて、専門家による検討が必要になります。そこで自己判断による誤った選び方をすると、さまざまな弊害をもたらします。その具体的な内容を見ていきましょう。

着け心地が悪くなる

コンタクトは種類によって、形状やベースカーブなどが異なります。そのため、ベースカーブが目に合っていないと、不快感が生じることがあります。角膜に直接触れるため、痛み、乾き、充血や目のかすみなどが生じることがあります。
また、合わないレンズは汚れも溜まりやすいため、目のトラブルにもつながります。

見えにくくなる

安易に度数を上げても見えすぎて目が疲れてしまったり、逆に視力に対して度数が低すぎることで見えにくくなったり、最適な度数は自分だけでは、なかなか判断できないもの。左右のバランスが悪いと、遠近感も取りにくくなるという弊害もあります。

目のトラブルを見逃す

簡単に手に入ることにより、「適切な管理が必要である」という認識が薄れてしまいます。そこから、定期検査を怠ってしまうという結果に。それによって定期健診で早期発見できるようなトラブルも見逃してしまうことになりかねません。

合わないレンズでトラブルを招く

目に合わないコンタクトを装着し続けることにより、他にもさまざまなリスクやトラブルが生じます。頭痛や眼精疲労、レンズの種類によっては結膜炎や角膜炎などの原因にもなる可能性も。

また、コンタクトの装着ができない疾患、例えば、目の前の方にある角膜、結膜、虹彩などの急な炎症、長く続く炎症などの症状がある場合、気づかずにコンタクトを使用することで、症状が悪化し、最悪の場合は失明するなどのリスクも。

コンタクト購入時は自分にあったレンズを購入することや、早期にコンタクト装着によるトラブルを見つけるためにも定期的に眼科を受診しましょう。
また、コンタクト装着時に目の調子が悪いと感じた場合は、早めに眼科を受診することをおすすめします。

コンタクトの処方箋(指示書)をもらうときの流れ

視力検査
それではコンタクトの処方箋(指示書)を得るためには、どんな行程が必要となるのでしょうか。眼科受診の際の大まかな流れを見てみましょう。

問診票へ記入する

眼科で受付をしたら、初診の場合、まずは問診票への記入をします。その際に初めての購入の場合は「初めてコンタクトを購入するための診察」などと記入、また再購入の場合は「コンタクト再購入のため」などと記入し、名前や現在の目の状態など、質問に沿って回答します。

さまざまな検査を行う

次に、目の状態や視力を確認するためにさまざまな検査を行います。
  • 検査機器を用いて近視や遠視、乱視などの屈折異常や目の形を測定する他覚的屈折検査
  • 検査機器の結果をもとに、視力表を使った屈折異常を矯正する自覚的屈折検査(視力検査)
  • 目に異常はないか、コンタクトを装用できる状態かどうか、医師による診察
など、多角的に見ていきます。

コンタクト選び・フィッティングを行う

コンタクトの装着に問題がないと診断を受けたら、今度はコンタクトの使用目的や疑問点などを話し合いながら、希望に合うコンタクトの候補を決めていきます。
装着した状態で、着け心地やコンタクトと目の形が合っているかどうか(フィッティング)を確認し、良好なものを決定します。

コンタクト装着後の視力測定を行う

コンタクト装着後、検査機器から得られたデータを元に、視力表にて度数の微調整を行い、コンタクトの度数を決定します。
必要な方には、装着練習(コンタクトの付け方、外し方が分からない方への指導)やレンズケア(お手入れ)方法の説明も行われます。

コンタクトの処方箋(指示書)をもらう際に知っておくべきこと

コンタクトの処方箋(指示書)の診察には保険が適用されるのか、いくらかかるのか、有効期間はどのくらいかなど、受診の前に知っておいた方がよいことをご紹介します。

実際に眼科に行ったのにコンタクトの処方箋(指示書)を受け取れなかった、余計な費用がかかったなどの失敗やトラブルがないように、チェックしてみてくださいね。

コンタクトの処方箋(指示書)の発行にかかる費用

コンタクトの処方箋(指示書)を作る際の診察にも保険が適用されますので、忘れずに健康保険証を持参しましょう。診察料は、病院によって、また、初診か再診か、薬剤を処方するかによって変わります。

保険証を忘れた場合

コンタクトは「高度管理医療機器」のため、初めて装着する場合には必ず医師の診断や指導を受ける必要があります。ただ、眼科で診察を受ける際、保険証がなくても受診をすることは可能なので、保険証を忘れたから眼科で診察を受けられず、コンタクトを購入できなかったという事態に陥ることはありません。

保険証を忘れた場合は、その場で支払う費用が「全額自己負担」となります。また、眼科によっては、保険証を忘れた際には身分証明書の提示などが必要なところもあるようです。

後日保険証を持参すると、以前支払った費用から差額が返金されます。この際、保険証は必ず診療を受けた眼科に持参する必要があります。電話で保険証の番号を伝えたり、コンタクトを購入した販売店などに保険証を持っていったりしても、返金は不可能なので注意してください。

ちなみに、病院の窓口で払い戻しをすることが義務とはなっていませんので、対応していない可能性もありますので事前に確認することもおすすめします。

コンタクトの処方箋(指示書)の有効期間

コンタクトの処方箋(指示書)には有効期間があり、その期間内に購入しなければなりません。さらに有効期間は、眼科によって異なります。

薬などの処方箋の期限は交付日を含め4日以内とされていますが、コンタクトは「処方箋医薬品」ではなく「高度管理医療機器」に分類されるため、眼科が独自で決めることになります。眼科によって発行日から3日、10日、30日などと異なります。

そのため、コンタクトの処方箋(指示書)をしっかり確認する必要があります。コンタクトの処方箋(指示書)を提示する場合は、必ず有効期間を確認しましょう。

眼科によってコンタクトの処方箋(指示書)を出してもらえないケース

コンタクトの処方箋(指示書)なしでの購入が続くことにより、定期検査を怠り、目のトラブルに繋がる可能性も高いことから、そういった事態を防ぐため、眼科によっては、検診を受けないとコンタクトの処方箋(指示書)発行を行わない方針のところもあります。

2回目以降購入のコンタクトの処方箋(指示書)の必要性

種類や度数など全く同じコンタクトを購入する場合、目に異常や違和感がなければ、基本はコンタクトの処方箋(指示書)なしで購入することができます。ただし、トラブルを回避するためにも定期的に眼科を受診しましょう。
もし種類や度数などの変更が必要な場合は、上記同様、眼科を受診しコンタクトの処方箋(指示書)をもらいましょう。

目のためにも、コンタクトは必ず処方箋(指示書)をもらって購入しよう

コンタクトケース
コンタクトは目に直接装着するものだけに、しっかりと検査をして無用なトラブルは避けたいもの。初回はもちろん、再購入の際も、面倒がらずに眼科を受診して、コンタクトの処方箋(指示書)を入手した上で、自分の目にピッタリ合った安全なコンタクトを装着しましょう。

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