【目に良いとされる栄養素を使ったレシピ】ホッと落ち着く!「緑黄色野菜の塩味ミネストローネ」
ちづかみゆき さん(料理家・国際中医薬膳師)

監修
ちづかみゆき さん(料理家・国際中医薬膳師)

国立北京中医薬大学日本校(現 日本中医学院)にて薬膳を学び、国際中医薬膳師資格を取得。上海、ボストンにて活動した後、東京に戻り季節の薬膳や美容の薬膳を中心とした薬膳料理教室「meixue(メイシュエ)」を主宰。雑誌、企業へのレシピ提供やコラム執筆、イベント講師なども務める。著書に「巣ごもりごはん便利帳 週2回の買い物でできる不調ケアレシピ」(翔泳社)などがある。

手に入れやすい食材と簡単ステップで、おいしく食事を楽しみながら目と体の健康にアプローチ! 栄養学だけでなく、中国の伝統医学(中医学)をベースとした食事法=薬膳も踏まえ、目に良いとされている栄養素を含んだレシピをご紹介します。今回は「緑黄色野菜の塩味ミネストローネ」。心と体にしみじみ染み渡るスープです。

「目に良い」とされる栄養素と薬膳の効能

まずは、「目に良い」とされる栄養素と薬膳の主な効能、それぞれどのような食材に含まれているかも併せて紹介します。すべてをカバーしなければならないわけではなく、少しずつでも毎日の食事に取り入れられるように意識するといいですね。参考にしてみてください。

「目に良い」と言われている栄養素

「目に良い」とされる主な栄養素は下記の通り。食材だけでは摂取するのが難しい場合は、うまくサプリメントなどを取り入れるなどしてバランスを取るのもおすすめです。
目に良いとされる栄養素
ルテイン
緑黄色野菜に多く、紫外線を吸収して目を守り、抗酸化作用によって目の老化を引き起こす活性酸素を除去すると言われています。
ほうれん草、ケール、ブロッコリー、小松菜、モロヘイヤなど
・アスタキサンチン
魚介類に含まれる赤い色素で、抗酸化作用によって目の血流をよくし、目の疲労回復を促すと言われています。
エビ、鮭、マス、カニ、いくら、鯛(皮部分)など
DHAEPA
網膜の組織を構成する大事な栄養素で、血流をよくし、目に栄養を運ぶと言われています。
いわし、サバ、ブリ、マグロなど
βカロテン
緑黄色野菜に多く含まれ、抗酸化作用があります。体内でビタミンAに変わって粘膜を健康に保ち、網膜を保護すると言われています。
にんじん、かぼちゃ、ブロッコリー、春菊、ニラ、小松菜、ほうれん草、モロヘイヤなど
ビタミンA
網膜や目の粘膜を健康に保つと言われています。
レバー、うなぎ、卵、バター、緑黄色野菜など
ビタミンB群
新陳代謝を促し、目の疲れや目の充血を回復させると言われています。
豚肉、うなぎ、レバー、卵、豆類、玄米など

「目に良い」と言われる薬膳の効能

目に良いと言われる薬膳
次に、薬膳の考え方から「目に良い」とされる食材を見ていきましょう。薬膳は、中国4,000年の歴史での経験や研究を通してまとめられた中医学がベースとなっています。栄養素という概念がなかったため、不調に合わせた効能別に食材を分類しているのが特徴です。
目に関わる効能は、主に「明目(めいもく)」「養肝(ようかん)」「補血(ほけつ)・養血(ようけつ)」など。漢字というだけで難しく感じるかもしれませんね。一つずつ、具体的な食材とともに説明していきます。
明目
「目を明るくする」と書くとおり、眼精疲労、かすみ目、視力低下などの目の不調を改善する働きのこと。
にんじん、ししとう、春菊、菊花、モロヘイヤ、黒米、クコの実、ブルーベリー、いわし、レバーなど
【養肝】【平肝】
「養肝」は五臓の「肝」に作用して正常に働くよう導くこと。目は肝との関係が深く、肝の不調は目に影響すると考えるため、肝の強化が大切です。肝は目の栄養ともなる「血」を蓄えるところなので、その意味でもケアが必要となります。
ブルーベリー、うなぎ、レバー(以上「養肝」)など
菊花、パプリカ、クレソン、セロリ、ししとう、トマト(以上「平肝」)など
補血・養血
文字通り「血」を補うことですが、中医学で考える血とは現代医学の血液の概念より広く、体の隅々までめぐって栄養として働く滋養物質となるもの。不足すると目も滋養されないことに。また目の酷使は血を消耗するとされているため、補血が必要となります。
黒豆、キクラゲ、にんじん、ほうれん草、ぶどう、黒ゴマ、いわし、牡蠣、サバ、ブリ、マグロ、牛肉、卵など
いかがですか? 栄養学で目に良いとされる食材と共通しているものも多くありますよね。
栄養素、薬膳、どちらの観点で紹介した食材も、忙しい日々の食事で、これだけの食材を揃えて調理するのは難しいもの。すべては取り入れなくてもOK。
知識として知っておくこと、毎日の積み重ねが大切です。第一歩として、“色鮮やかな食材”を手に取ることから始めてみてください。それだけでも、薬膳の効能としてはバランスが取れるはずですよ。

ホッと落ち着く!「緑黄色野菜の塩味ミネストローネ」

ここからは、「緑黄色野菜の塩味ミネストローネ」のレシピについて説明していきます。栄養豊富なビタミンカラーのほうれん草、にんじん、パプリカは、目にも鮮やかなのでぴったり。ベーコンから出る「だし」がきいた、優しい味わいのスープです。

食材の栄養素と効能

今回使用する、それぞれの材料に含まれる栄養素と効能について、改めて紹介していきます。
ほうれん草、にんじん、かぼちゃ、赤パプリカ、セロリ、たまねぎ、ベーコン、
●豚肉(ベーコン)
栄養素:目の疲れに効果的なビタミンB₁、B₂
薬膳の効能:先ほど紹介した3つの効能ではなく、代わりに「気」(エネルギー)と「潤い」を補う働きがあります。疲れなどで「気」が足りないと、大切な「血」を作り出せません。潤いを補うことで目(粘膜)の乾燥改善が期待できます。
●ほうれん草
栄養素:目の内部にも存在しているルテイン
薬膳の効能:「補血」「養血」し、豚肉と同様に「潤い」を補います。また肝に働きかける食材です。
●にんじん
栄養素:目の粘膜を強くし、目の疲れや乾燥を防ぐビタミンA
薬膳の効能:「明目」「補血」と潤いを補給して目の乾燥防止。肝にもよい食材です。
●かぼちゃ
栄養素:抗酸化作用が目の不調に効果的なβ-カロテン
薬膳の効能:大切な「血」を作り出すエネルギーとなる「気」を補います。また胃腸の働きを良くして食べたものをきちんと「血」などの栄養に変えられるよう働きます。
●赤パプリカ
栄養素:β-カロテンのほか、目の充血予防によいビタミンC
薬膳の効能:気の巡りをよくして肝が正常に働くよう作用します。
●セロリ
栄養素:目の充血予防によいビタミンC、ビタミンB群
今回はほうれん草が入るのでセロリは茎のみ使用しましたが、葉にはβ⁻カロテンやビタミンB群が豊富。葉物がないときは、ぜひセロリの葉を刻んで加えてみてください。
薬膳の効能:イライラを鎮め、肝が正常に働くよう作用します。
●たまねぎ
栄養素:ビタミンB群、C、Eなど
目に直接作用する栄養素は少なめですが、味のためにもスープや煮込み料理には欠かせませんね。
薬膳の効能:気の巡りをよくして肝の働きを助けるほか、栄養がきちんと届くよう血の巡りをよくします。
ここからは、いよいよレシピをご紹介。食材をじっくりと時間をかけて炒めていくと、野菜の甘味が増してさらにおいしくなります。「すべての野菜を刻むのが面倒…」というときは、色鮮やかな野菜2~3種でもいいですよ。

材料(2人分)

ベーコン・・・50g
たまねぎ・・・1/4個(50g)
にんじん・・・50g
セロリ・・・茎のみ50g
赤パプリカ・・・小1/2個
かぼちゃ・・・50g
ほうれん草・・・1/4束(50g)
ローリエ・・・1枚
水・・・3カップ
塩・・・小さじ1/2
こしょう・・・少々
エキストラバージンオリーブオイル・・・大さじ1/2

作り方

1 ベーコンは太さ5mmの棒状に切る。たまねぎ、にんじん、セロリ、パプリカはさいの目切りにする。かぼちゃは1.5~2cm角に切る。ほうれん草は2cm幅に切る。
さいの目に切り揃えた具材
2 鍋にオリーブオイルを入れて熱し、ベーコンを炒め、たまねぎ、にんじん、セロリを加えてさらに炒める。たまねぎがしんなりしたら、水とローリエを加え、沸騰したらアクをとり、かぼちゃとパプリカを加える。
具材を炒めてから水を加えた様子
3 10分ほど煮て、かぼちゃが少し煮崩れてくるくらい柔らかくなったらほうれん草を加えてさっと煮る。(途中ベーコンの脂が多いようならすくって除き、水分が少なくなるようなら適宜水を加える)
10分ほど具材を煮た様子
4 塩、こしょうを加えて味を調えたら完成。
緑黄色野菜の塩味ミネストローネ
「このスープとパンだけで食事を済ませたい!」という方は、最後に卵をプラスして、タンパク質を補いましょう。沸騰したところに卵を落として約4分加熱し、半熟になれば食べごろです。
調理のポイント
写真ではすべてカットして並べていますが、炒めていく順に切り、切れたものから弱火にかけた鍋に加えていくのがおすすめ。じっくりと時間をかけて炒めることができるので、より野菜の甘味が引き出されます。分量もいちいち計量する必要はなく、たまねぎを1/4個分カットしたら、その量を目安に同じくらいの量を用意してみてください。
メインディッシュにぴったりな「豚こま×にんじん×ブロッコリーのトマト赤みそ煮」のレシピもあります!ぜひチェックしてみてくださいね。
あと一品、におすすめな「春菊と桜エビのサラダ〜温玉添え〜」のレシピもあります!ぜひチェックしてみてくださいね。

毎日のおいしい食事から、目を労ろう

生活の中で、なくてはならない食事。目に優しい、栄養たっぷりなレシピで、おいしく楽しみながら、目のケアも取り入れてみてはいかがでしょうか。体の中から日々の目の疲れも軽くして、すっきりときれいな目で過ごせるといいですね!

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